改正薬機法では、法令遵守のための体制整備の義務化に加え、薬事業務に責任を持つ専任役員を法律上に位置づけると共に、総責の責務も明確化している。総責の選任要件については薬剤師に限定されていたが、今回の薬機法改正に当たって、総責としての責務を果たせる薬剤師が確保できない場合などに限り、薬剤師以外の者を選任できる例外規定を設けている。
省令案では、総責の基準として、「医薬品の品質管理や製造販売後安全管理に関する業務を適正・円滑に遂行し得る能力を持つ者」とし、第1種医薬品製造販売業許可の場合は、「品質管理・製造販売後安全管理業務などに3年以上従事した者」と規定した。
薬剤師以外の者を選任する場合は、大学などで薬学か化学に関する専門課程を修了した者、厚生労働相が薬学か化学の専門課程を修了した者と同等以上の知識経験を有すると認めた者とした。
さらに、総責を補佐する者として薬剤師を置くことや総責として薬剤師を置くために必要な措置として人材育成の体制整備も求めた。総責の許可申請や変更届出手続を行う場合には、薬剤師以外の技術者を置く理由を記載した書類や総責に薬剤師を置くために必要な措置に関する計画などを提出することを明記した。
医療用ガスについては、厚労相が指定する医薬品のみ薬剤師以外の技術者を総責、製造管理者とできるとした。これまで酸素、二酸化炭素などが指定されているが、今後厚労大臣告示でエチレンオキサイドなどを指定するとしている。
法令遵守体制の整備も義務づけ、製造販売業者、製造業者、薬局や店舗販売業者、卸売販売業者が行う業務や遵守すべき事項を定めた。製造販売業者は総責の意見、製造業者は製造管理者、責任技術者の意見を記載した書面の写しを5年間保存すること、薬局などは薬局開設者や販売業者に対して述べる意見を記載した書面の写しを3年間保存することとした。
製造販売業者、製造業者に対しては、品質保証や安全管理の責任者、薬局開設者には薬剤師、登録販売者に対する業務指示や監督を行うよう明記した。
改正薬機法で承認申請や製造販売など薬事に責任を有する役員として、「責任役員制度」を薬機法上に位置づけたことを踏まえ、責任役員の権限を明確化するよう求めるほか、責任役員・従業員に対する教育訓練・評価体制、従業員に対する法令遵守の指針策定も義務づける方針だ。