日病薬から各都道府県病薬への支援金は、70万円の基礎額に日病薬会費納入額の3%を加えた額とする。会員数が多い病薬では100万円以上になる場合もある。現在、各地の病薬に受け取りの意思を確認しているところで、確認が済み次第、速やかに拠出する。
木平氏は、支援金拠出の趣旨について「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、会議や研修会のオンライン開催が増えてきた。推進にはシステムの構築が必要で、研修受講シールの郵送等にも費用がかかる。こうした基盤整備や運営強化に支援金を活用してもらいたい」と説明した。
会議では、各県病薬の会長が新型コロナへの様々な対応を議論した。中国四国地方は薬剤師不足に悩む病院が多く、感染が広がれば薬剤部の業務にも影響が及ぶと懸念されている。
高知県病薬の宮村充彦会長(高知大学病院薬剤部長)は「高知県では、薬剤師が1~2人感染してしまうと薬剤部の機能が止まる病院も見られる。今後、感染拡大時にどう対応できるか想像がつかず、他病院から薬剤師を派遣する人事交流についても考えなければならない」と危機感を表明した。
新型コロナの拡大は、中国四国地方における薬学生の実務実習にも影響を及ぼしているが、地域によって差はあるようだ。感染者が少ない島根県や香川県では実習実施に大きな影響はないとの報告があった。
一方、感染者が多い県では、実務実習の受け入れを中止したり、オンラインで対応する病院が出ている。徳島県病薬の石澤啓介会長(徳島大学病院薬剤部長)は「オンラインを中心に実務実習を実施しているが手探り状態」と言及。オンライン実習の手引き作成や事例の共有化を求めた。
新型コロナ患者の治療に当たる医療従事者に特殊勤務手当を支給する病院が増えていることから、「薬剤師にも特殊勤務手当が支給されるよう働きかけを強めるべき」との意見もあった。鳥取大学病院や高知大学病院では、実際に院内で要望したところ、支給が決まったという。
島根県病薬の直良浩司会長(島根大学病院薬剤部長)は「県内では3病院が薬剤師に特殊勤務手当を支給していた。いずれも中小病院で薬剤師の確保に困っている病院だった。確保の手段の一つとして手当を設けているのではないか。こうした情報を共有することで手当の支給につながる。各県で現状を調べてみてはどうか」と呼びかけた。
<訂正>記事中、薬剤師への特殊勤務手当が支給された病院として「島根大学病院」とあるのは「鳥取大学病院」の誤りでした。お詫びして訂正します。