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コルヒチンの治験開始へ-新型コロナで来年1月から、琉球大学、横浜市立大学

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2020年11月09日 AM10:30

琉球大学と横浜市立大学は5日、新型コロナウイルス感染症患者を対象とした痛風治療薬「」の国内治験を2021年1月から開始すると発表した。日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、入院中の軽症・中等症患者に対する重要化予防効果を検証し、2021年5月に治験を終了する予定。軽症・中等症患者に対しては、富士フイルム富山化学が開発した抗ウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)が承認申請中だが、抗ウイルス薬とセットで使われる抗炎症薬として、コルヒチンの開発を目指す。

コルヒチンは、抗炎症薬として痛風、家族性地中海熱を適応に使用されている。今回の治験は、・重症化ハイリスク因子を持つ軽症の新型コロナウイルス感染症患者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照多施設共同比較試験。コルヒチンとプラセボを割り付け、初日1.5mg、翌日から0.5mgを1日1回4週間経口投与した時の高感度CRPを指標とした炎症反応亢進抑制作用を検討する。

研究代表者は、琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学の金城武士助教で、横浜市立大学大学院データサイエンス研究科長の山中竹春教授らとの共同研究で行う。

琉球大学臨床薬理学の植田真一郎教授が新型コロナウイルス感染症で重症化リスクが高い糖尿病合併冠動脈疾患患者を対象に、コルヒチン投与によるコホート研究を実施したところ、炎症反応が亢進した冠動脈疾患でコルヒチンによる内皮機能改善作用を突き止めた。好中球の活性化を抑制すると共に、新型コロナウイルス感染症の重症化を引き起こすサイトカイン生成を低下させる作用機序から、治験で重症化予防の有用性を確認することにした。

今回の治験でコルヒチンの有効性が確認できた場合、大規模試験で有効性を確認し、新型コロナウイルス感染症治療後の血栓症予防効果も検証する予定だ。

新型コロナウイルス感染症治療は、抗ウイルス薬と抗炎症薬との併用によって行われている。酸素投与が必要な中等症、人工呼吸器、集中治療室で治療する重症患者では、抗ウイルス薬「レムデシビル」(販売名:ベクルリー)と抗炎症薬「デキサメタゾン」が承認されている一方、重症化リスク因子を持つ軽症者、肺炎はあるものの酸素投与が必要ではない中等症患者に対する治療薬はない。

抗ウイルス薬では、アビガンの国内承認申請が行われており、空白となっている抗炎症薬ではコルヒチンのほかIL-6阻害薬などの開発が進められている。

 

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