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オリプダーゼアルファがASMDの肺機能と脾容積を改善、2つの臨床試験結果発表-仏サノフィ

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2020年11月09日 AM11:45

2021年下半期より世界各地で承認申請予定

仏サノフィ社は10月27日、(遺伝子組換え)()について、)の成人患者と小児患者をそれぞれ対象とする2件の臨床試験の結果、患者の肺機能と脾容積を改善したと発表した。試験結果は、第70回米国人類遺伝学会(ASHG 2020)で発表された。同社は、2021年下半期より世界各地での承認申請を行う予定だとしている。

ASMDは、ニーマン・ピック病(NPD)A型およびB型とも呼ばれる稀な疾患で、ライソゾーム病の一種。細胞内器官であるライソゾームにおいて、脂質スフィンゴミエリンを分解する酵素である酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASM)の活性が低いために現れる。ASMが存在しないか、活性が低い場合、スフィンゴミエリンは代謝されずに細胞内に蓄積。やがて細胞は死滅し、内臓の機能に異常が現れる。ライソゾーム酵素ASMの欠損は、スフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ1の遺伝子(SMPD1)の変異により現れる。ASMDの全世界での発症率は、出生児10万人あたり0.4~0.6人とされている。

olipudase alfaは、開発中のヒト酸性スフィンゴミエリナーゼ製剤。欠損しているか低下しているASMを補充し、スフィンゴミエリンの分解を促す目的で用いる、酵素補充療法の製剤。ASMDの非中枢神経系病変に対する治療薬として開発中だ。ASMD A型の患者を対象とした同剤の試験は行っていない。まだ、同剤は臨床開発段階の治験薬であり、現時点ではいずれの規制当局においても本剤の安全および有効性は評価されていない。

成人ASMD B型患者対象のP2/3試験

ASCEND試験は、ASMD B型の成人患者36人が参加した第2/3相試験で、52週間にわたりプラセボまたは同剤を最大3mg/kgで隔週静脈内投与を行い、肺機能、脾容積と肝容積に対する効果を検討。参加した患者を対象にolipudase alfaの長期有効性・安全性を検討する同試験の非盲検単群継続投与を実施中だ。

試験の結果、第52週時点の肺機能について、一酸化炭素肺拡散能(DLCO)の正常予測値に対するパーセントとして評価する肺機能は、olipudase alfa群ではベースラインから22%改善したのに対し、プラセボ群では3%と有意の改善がみられた(p=0.0004)。

第52週時点の脾容積について、脾容積を正常な脾容積との比較の倍数(MN)として示し、ベースラインからの変化率を評価したところ、olipudase alfa群では 39.5%減少したのに対しプラセボ群では0.5%上昇し、有意差がみられた(p<0.0001)。

同試験内で高頻度にみられた有害事象(有害事象の発生率が2%以上で、olipudase alfa群の2人以上にみられた有害事象と定義)は、頭痛、鼻咽頭炎、上気道感染、咳嗽、および関節痛だった。

小児ASMD患者対象のP2試験

ASCEND-Peds試験は第2相非盲検単群試験で、ASMDの小児患者(出生後~18歳未満)が20人参加。神経症状に急速な進行がみられる患者は、除外された。この試験の主たる目的は、olipudase alfaの最大用量を3mg/kgとして隔週静脈内投与を64週間行った場合の安全性と忍容性を評価することだった。なお、患者20人は全員試験を完了し、長期継続投与試験へ移行している。

同試験では、副次評価項目として、第52週時点の有効性を探索的に検討し、肺機能と脾容積、肝容積と患者の成長を検討。評価結果より、臨床上意義ある疾病エンドポイントの改善が認められた。

DLco(正常予測値に対する百分率)は、ベースライン時点で検査が実施できた9人(5歳以上で、検査が実施できる患者)で平均33%(32.9%±29.1%)上昇。脾容積のMNは平均で49%(49.2%±9.7%)、肝容積は41%(40.6%±9.4%)減少した。15人(78.9%)では身長Zスコアが上のカテゴリに移動し、4人(21.1%)は同カテゴリ内に留まったという。血小板数は、34%増加した(34.0%±36.42%)。

高頻度にみられた有害事象(有害事象の発生率が2%以上で、olipudase alfa群の2人以上にみられた有害事象と定義)は、発熱、咳嗽、嘔吐、鼻咽頭炎、下痢、頭痛、上気道感染、挫傷、腹痛、鼻閉、発疹、じんましん、引っかき傷および鼻出血だった。

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