厚生労働省は、2日に開催した「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で、初診を含めたオンライン診療の恒久化に向けた議論を開始。初診を含めたオンライン診療でビデオ通話など映像による診療方法を原則化する案を提示した。かかりつけ医に限定する方向性についても次回以降に検討を行う。年内をメドにオンライン診療に適切な疾患や症状についての方向性をまとめる。
同会議では、新型コロナウイルスの感染拡大で初診からのオンライン診療を可能とする特例措置について、3カ月ごとに運用状況を確認し、措置を継続するかどうかを判断してきた。オンライン診療の恒久化を目指す政府の方針を受け、議論の対象範囲を新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後の方向性にまで広げることにし、今回の検討会から新たに構成員を3人追加した。
この日の会合では、新型コロナウイルス感染症に対応したオンライン診療の特例措置を3カ月延長することが了承された一方、厚労省からは新型コロナウイルス感染症が収束した後には、初診も含めたオンライン診療を原則的に解禁する方向性が提示された。
厚労省案では、患者を診療する際に電話では収集可能な情報量が少なくなるため、ビデオ通話など映像を用いたオンライン診療システムがあることを原則とした。さらに実施に当たっては、オンライン診療を行うことによる患者の利便性や対面診療を行わないことによる疾患の見逃しや重症化リスク、患者と医療機関のトラブルなどのリスクを総合的に考慮することも明記した。
委員からは「対面診療が必要な疾患があるため、オンライン診療に適した疾患や症状などを検討していくべき」と、安全性の面から初診のオンライン診療を全面的に解禁する方向性には慎重な意見が出た。高齢者の中にはオンライン診療アプリを使えない人も多く、「医療アクセスの格差を生じさせないよう広報も必要」との指摘も上がった。
今後、論点を整理し、年内には方向性を取りまとめ、オンライン診療に関する指針見直しも視野に入れていく。