厚生労働省は10月29日、米モデルナと武田薬品との間で、2021年前半から新型コロナウイルス感染症ワクチン5000万回接種分の供給を受ける契約を締結した。モデルナと武田がワクチン開発に成功することを前提に武田による国内流通のもと、来年上半期に4000万回分、同6~9月に1000万回分の供給を受ける。既に米ファイザー、英アストラゼネカとはワクチンの供給で基本合意していたが、最終契約に至ったのは初めて。3社から供給を受ける接種量を合計すると1億人分となり、来年前半に目指す全国民への供給量確保に近づいた格好だ。
モデルナが開発中の新型コロナウイルス感染症ワクチン「mRNA-1273」は、モデルナと米国立アレルギー感染症研究所が共同開発したウイルスのスパイク蛋白質をコードしたmRNAワクチン。米国では100μgの接種用量で第III相試験を実施しており、3万例の被験者登録を完了。今月には有効性に関するデータを公表する予定となっている。
厚労省は8月に、モデルナ、武田と新型コロナウイルス感染症ワクチンの供給が受けられるよう協議を進めていることを明らかにしていたが、5000万回分の供給契約を締結した。予防効果を示すために2回接種が必要になるため、接種人数では2500万人分となる。
武田は「mRNA-1273」ワクチン5000万回接種分を流通させるために、モデルナからワクチン最終製品の提供や臨床開発などの支援を受け、国内承認申請を担い、承認取得後に日本での供給を開始するとしている。厚労省、日本医療研究開発機構(AMED)からは新型コロナウイルス感染症ワクチンを国内で開発・供給するための助成を受けており、供給体制整備を進める。
政府は、来年前半までに全国民分のワクチン供給量を確保する方針を打ち出している。開発が先行する海外ワクチンメーカーと国内供給に向けた協議を進めており、来年上半期までにファイザーとは約6000万人分、アストラゼネカとは約1500万人分の供給で基本合意し、モデルナ、武田とは最終契約に至った。
3社からの供給量を合わせると1億人分の接種人数分を確保できたことになる。今後もワクチンの早期供給に向け、様々な取り組みを進めていくとしている。