AI技術を活用で、大腸ポリープなどの病変検出・鑑別を支援
富士フイルム株式会社は10月26日、AI技術を用いて大腸内視鏡検査時におけるポリープなどの病変の検出および腫瘍性もしくは非腫瘍性の鑑別を支援する内視鏡診断支援機能「CAD EYE(TM)(キャド アイ)」を搭載したソフトウェア「EW10-EC02」を、富士フイルムメディカル株式会社を通じて11月30日より発売すると発表した。
CAD EYEは、同時に発売する機能拡張ユニット「EX-1」に「EW10-EC02」をインストールすることで、当社内視鏡システム「ELUXEO 7000システム」、「LASEREO7000システム」、および「6000システム」を活用した下部消化管用スコープでの検査時に使用可能。大腸ポリープなどの「病変検出支援機能」と「疾患鑑別支援機能」で構成される。
画像はリリースより
「病変検出支援機能」と「疾患鑑別支援機能」がリアルタイムで作動
病変検出支援機能は、内視鏡画面内にポリープなどの病変と疑われる箇所を検出すると、対象のエリアを枠で囲って表示するとともに、検出音を鳴らすことで医師の検出をサポートする。また、検出した病変と疑われる箇所に近い内視鏡画面の外縁が点灯し、検査時の医師の視線移動を抑えるという。主に、スクリーニングの目的で使用される白色光およびLCIモードでの観察中に自動で起動するため、通常の内視鏡観察のワークフローの中で自然に使用できるとしている。
疾患鑑別支援機能は、ポリープなどの病変と疑われる箇所について、腫瘍性もしくは非腫瘍性の鑑別結果を表示することで、医師の診断をサポートする。鑑別結果が腫瘍性の場合には黄色、非腫瘍性の場合には緑色と、鑑別結果により異なる色を内視鏡画面の外縁に表示するとともに、鑑別を行っている位置を示す「ポジションマップ」を内視鏡画面の脇に配置。医師の視線移動を抑えるとともに、視認性の高いデザインとしている。主に、鑑別の目的で使用されるBLIモードでの観察中に自動で起動するため、通常の内視鏡観察のワークフローの中で自然に使用できるとしている。
これら2つの機能は、内視鏡観察時にリアルタイムで作動し、画面静止操作や拡大操作など追加の操作をすることなく使用可能。また、処置時など、検出・鑑別機能が不要な時は手元の内視鏡スコープのスイッチで簡単にオン・オフの切り替えができる。
CAD EYE使用で、内視鏡専門医並みの検出・鑑別を目指す
大腸がんは、がんの中でも罹患者数第1位、死亡者数第2位と、高い割合を占めている。初期のがんであれば内視鏡手術や外科手術で切除できる可能性が高く、早期発見が重要とされている。
大腸がんの検査は内視鏡検査が一般的だが、平坦な病変や微小な病変は発見が難しく、発見率を向上させることが課題だ。また、切除する必要性が比較的低いとされる非腫瘍性の病変の切除件数を減らすことは医療費削減につながるため、内視鏡検査による正確な大腸ポリープ診断が求められている。
同社は、この課題に対し、波長の異なる複数の光の発光比率を変えて臓器の粘膜表層の微細な血管や構造などを強調して表示する機能「BLI」や、画像の赤色領域のわずかな色の違いを強調して表示する機能「LCI」などの画像強調機能を用いて、炎症の診断や微小な病変の発見をサポートする内視鏡システムを提供してきた。
今回発売するCAD EYEは、これらの画像処理技術を基に培ったAI技術を活用して、大腸ポリープなどの病変の検出および鑑別をサポートする内視鏡診断支援機能だ。CAD EYEを使用した際に、内視鏡専門医並みの検出および鑑別ができることを目指して開発したとしている。
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