日本薬剤師会が全国163の薬局を対象に新型コロナウイルス感染症による薬局経営に関する影響を調査した結果、8月の処方箋受付回数は前年同月比で10.8%減となったものの、7月調査の13.6%減に比べてやや改善していることが分かった。技術料は新型コロナウイルス感染症が拡大した4月以降では最も影響が小さかった一方、薬剤料は7月調査から悪化した。日薬では、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行が起こる可能性から、「予断を許さない状況が続いている」と引き続き警戒が必要と見通している。
8月調査で技術料は、前年同月比6.4%減と7月の7.9%減から改善した一方で、薬剤料は7.0%減と7月の5.1%減から悪化している。
調剤料は、14日分以下が25.0%減とマイナス幅がほぼ変わらなかったが、15~21日分以下では13.4%減と7月の0.2%減から大きく減少した。22~30日分以下は5.4%減とやや悪化したものの、31日以上は5.0%増と昨年8月分を上回った。一方、電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行った回数は606回と7月の677回から減少した。
安部好弘副会長は22日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症による影響がピークとなった4~5月に比べ、「6~8月は改善傾向にある」としながらも、「今後悪化することも容易に考えられ、予断を許さない。推移を注視していきたい」と語った。
■山本会長、販売規制緩和に反対
また、山本信夫会長はこの日の会見で、規制改革推進会議で薬剤師などによる対面販売や販売時間の規制緩和が議論されていることに言及。「利便性は大きな課題だが、わが国で本当に医薬品が手に入らない状況があるのか。規制緩和を議論する前に、まず安全に医薬品を提供できるのかという議論がなされるべき。われわれとしては賛成しかねる」との見解を示した。
日本チェーンドラッグストア協会や日本保険薬局協会とは「薬剤師を置くことについては合意している。必要であれば3団体で話し合いたい」とし、団体間での合意が取れれば共同歩調を取ることも視野に入れる考えを示した。
山本氏は「(2団体は)われわれとは主張のトーンが違うかもしれないが、医薬品医療機器等法上で見ても調剤専門ではなく、OTC医薬品を管理・提供するのも薬局の仕事であるので、共通認識を持つことは可能ではないか」との見解を述べた。