この日の検討会では、課題となっていた卒後研修のあり方を議論するため、山田清文参考人(名古屋大学病院薬剤部長)が出席し、厚生労働行政推進調査事業として2019年度から3年間の期間で進めている「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」の一部調査結果を発表した。
対象となった1505施設中、約7割の1017施設でカリキュラムによる1カ月以上の教育研修を実施できていなかったほか、法的位置づけのない自律的研修であることや、カリキュラムの認証、評価が実施されていないため質の保証や情報開示が乏しいなどの課題が浮き彫りになった。
卒後研修に法的位置づけがない現状について、山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「改正薬機法では対人業務を重視している。対人業務に注力することも含め、法的根拠をもって臨床現場での研修制度を整えるべき」と訴えた。
宮川政昭委員(日本医師会常任理事)も、来年から始まる地域連携薬局等の認定制度を念頭に「インスリン製剤に触ったこともない薬剤師が業務に就くことは医師から見て怖い。卒後の初期研修、専門薬剤師研修を1年間でもいいので法的に位置づけることは非常に重要」と同調した。
薬剤師の安部好弘委員(日本薬剤師会副会長)は、研修について「果たすべき機能を発揮する上で、病院、薬局共に非常に重要な課題」との認識を示しつつ、「一定の規模がないとうまくいかないなどハードルがたくさんある。一つひとつクリアする必要がある」とした。
一方、政田幹夫委員(大阪薬科大学学長)は「日本では卒前に臨床を経験することがほとんどないため、全てを卒後研修に任せることになりかねない。大学の6年間で何を教えるかも考えるべき」と指摘。藤井江美委員(日本保険薬局協会常務理事)も「卒前で研修を行えば卒後にスムーズにつながり、現場の負荷も下がるなど、卒前でできる内容を検討する必要がある」との考えを示した。
赤池昭紀委員(和歌山県立医科大学客員教授)は、「病院薬剤師だけでなく、薬局薬剤師もこれからは地域医療に関わることが増えると思うので、病院で臨床研修を積むことが極めて重要になる。そのようなプログラムを組むよう検討を進めるべき」と提案した。