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肝細胞がん、免疫療法に続くレンバチニブ治療でOSが単独療法の約2倍に-近大

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2020年10月21日 PM12:00

免疫チェックポイント阻害剤不応の肝がんへの二次治療は?

近畿大学は10月20日、切除不能の肝細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の効果がなくなった後の二次治療として、分子標的薬「」(製品名:)が極めて有効であることを実証したと発表した。これは同大医学部内科学教室消化器内科部門の工藤正俊主任教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Cancers」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより

レンバチニブは、エーザイ筑波研究所で創薬された分子標的薬。これまで、切除不能の進行肝がんに対する薬物療法の一次治療薬には、レンバチニブとソラフェニブの2つがあった。これに対し、2019年11月、切除不能の進行肝がんについて、「アテゾリズマブとベバシズマブ併用療法」が、ソラフェニブと比較して大幅に生存期間を延長するという研究結果が発表された。これにより、今後はアテゾリズマブとベバシズマブの併用療法が肝がんに対する一次治療薬となると考えられている。日本では、2020年9月25日、アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法が肝がんで初めての免疫療法として厚生労働省により承認され、日常臨床でも使用可能となった。しかし、アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法が不応となった後の二次治療についてはいまだ確立されておらず、有効な治療法を早急に確立する必要がある。

一次治療の開始時点からの全生存期間が29.8か月、病勢コントロール率86.1%

研究では、免疫チェックポイント阻害剤に不応となった肝細胞がんへの二次治療としてレンバチニブが投与された36症例を対象とした。先行する免疫チェックポイント阻害剤の投薬期間中央値は3.7か月(範囲:1.7-8.8)で、多くの症例が免疫チェックポイント阻害剤の効果がなくなり中止された。治療終了後、0.95か月(範囲:0.055-4.08)の期間をおいてレンバチニブが導入され、ほとんどの症例はレンバチニブを十分量内服した。

その結果、免疫チェックポイント阻害剤の後で投与されたレンバチニブ群の無増悪再発期間は中央値10.03か月(範囲:8.3-11.8)で、レンバチニブ開始時点からの全生存期間は中央値15.8か月(範囲:8.5-23.2)、免疫チェックポイント阻害剤開始(一次治療)時点からの全生存期間は中央値29.8か月(範囲:25.3-34.4)と極めて良好な成績だった。

また、肝がん治療効果判定に使用されるmRECIST(肝がん治療効果判定基準)による完全奏効は2.8%、部分奏効は52.8%、 病勢安定は30.6%、 病勢進行は11.1%で、奏効率55.6%、病勢コントロール率86.1%であった。レンバチニブ投与開始後4週目までに、83.3%の患者で腫瘍の縮小が観察され、4例を除く26例では再増大することなく、効果が維持された。

腫瘍縮小により、肝細胞がんの根治治療につながる可能性

切除不能な肝細胞がんに対するレンバチニブの一次治療の成績は、REFLECT試験の報告通り、無増悪再発期間中央値は7.4か月、全生存期間中央値は13.6か月、奏効率は24.1%、病勢コントロール率は73.8%である。今回の結果は、一次治療の開始時点からの全生存期間が29.8か月と、レンバチニブ単独開始の全生存期間(13.6か月)や免疫チェックポイント阻害剤、ニボルマブの一次治療の単独療法の全生存期間(16.7か月)に比べ2倍程度、生存期間を延長したことになる。

研究は、二次治療以降のレンバチニブの成績であるが、免疫チェックポイント阻害剤が体内に残って免疫細胞に結合している期間に同薬を投与した点が独創的なポイントである。単純に比較することはできないが、現在、臨床試験が進行中の免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬の併用療法に劣らない治療成績が示されたことは、極めて重要な結果である。「研究結果は、今後の肝細胞がん治療に大きなインパクトを与えると考えられる。レンバチニブによる二次治療の効果で切除不能であった腫瘍が縮小することによって、動脈化学塞栓療法(TACE)やラジオ波・肝切除術などよる根治治療につながることが期待される」と、研究グループは述べている。

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