■フォーラムで議論活発
国内のバイオ後続品は、2009年のサンドが開発した成長ホルモン製剤「ソマトロピン」を皮切りに、今年6月までに14成分32品目が承認されている。市場規模は約400億円と、バイオ医薬品市場全体の約2割に拡大。17年の「骨太の方針」では、今年度末での承認品目数を成分ベースで倍増させる計画を示していたが、目標をクリアしている。
ただ、品目によって浸透度にバラツキがあり、インスリングラルギンやフィルグラスチムでは使用割合が50%を突破しているものの、インフリキシマブを選択する患者は少ない。
一方、ダルベポエチンアルファは、協和キリン子会社が販売するバイオAGがDPC病院で7割弱、非DPC病院でも5割弱のシェアを占有している状況だ。
バイオシミラー協議会の南部静洋会長は、「バイオシミラーは認知が進んでいるが、促進に向けて阻害する因子を取り除かないといけない」と述べ、事業の予見性が見通せる施策を求めた。
その上で「バイオAGが出てくると、バイオ後続品に参入する企業がやっても仕方ないということになるので、バイオAGのポジションについては検討してもらいたい」と要望した。
日本医師会の宮川政昭常務理事は、「先発品と品質が同一の後発バイオ医薬品がバイオ後続品より低い価格で算定されると、バイオ後続品の開発自体行われなくなる」と薬価算定ルールを問題視。後発バイオ医薬品という呼称についても「医療現場で混乱が生じており、整理が必要」とし、「一物二価、三価を是正し、後続品が生きられる環境、育薬を実現する上でスクラムを組んでやらないといけない」と述べた。
日本病院薬剤師会の川上純一副会長は、14年の診療報酬改定でDPC病院の機能評価係数IIに後発品指数を導入したことが後発品の普及につながったと言及。「大学病院の先生も後発品を使うようになった。制度がドライバーになる」と述べ、バイオ後続品の採用に向けたインセンティブ導入を求めた。
一方、診療報酬では、バイオ医薬品とバイオ後続品の取り扱いをもっと検討すべきとの意見も出た。神奈川県立保健福祉大学の坂巻弘之教授は、在宅自己注射管理指導料でバイオ後続品が加算対象となっていることに「バイオ医薬品の先発品は加算されないのに、バイオ後続品だけに加算を導入する合理性はあるのか」と指摘。バイオ医薬品に共通した指導料を導入した上でバイオ後続品に加算をつけるべきと主張した。
厚生労働省の林俊宏経済課長も「バイオ医薬品産業への取り組みが産業政策で遅れている」と述べ、バイオ後続品に特化するのではなく、バイオ医薬品産業の育成が必要との認識を示した。