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高齢者の認知症診断に、睡眠脳波データを用いた「BAI値」が有用-米MGHほか

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2020年10月14日 PM01:15

Brain Age Indexは生物学的年齢と実際の年齢の差

米マサチューセッツ総合病院は9月28日、高齢の認知症診断とその重症度予測に、「BAI」()と呼ばれる脳年齢指数モデルが有用であることを明らかにしたと発表した。これは、同病院のM. Brandon Westover医師らと、ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの研究グループが共同で行ったもの。研究成果は、「JAMA Network Open」に掲載されている。

高齢者の認知症は全世界的な問題だ。これまで、認知症に関する脳の検査といえば、MRIによる脳画像から脳年齢を測定する方法のみで、それには高額な費用がかかるため、何度も測定したり、自宅で測定したりといったことは困難だった。

研究グループは、今回の研究以前にBAIを開発。BAIは、大量の睡眠データを人工知能に学習させて作成した計算モデルで、実際の年齢と、脳波測定で記録された睡眠中の脳活動から推察される生物学的年齢の差を推定する。BAI値が高いと、通常よりも脳の老化が進行していることを意味し、認知症発症とその重症度を反映している可能性がある。また、BAIは神経・精神疾患、高血圧、糖尿病、死亡率にも関連しているという。今回は、実際に認知症症状をBAI値が反映しているかを確認するための検討を行った。

認知障害度が増すにつれBAI値は高く、神経精神医学的スコアとも相関

まず、2009年から2017年に同病院で取得した睡眠ポリグラフ検査のデータ(9,834データ)のうち、50歳未満の認知症患者、発達障害、脳腫瘍、脳卒中または脳の外傷、発作症状のある人を除外。最終的な対象者となった5,144人のうち、年齢の中央値は54歳(43~65歳)、男性は59%(3,026人)だった。これを、認知症患者群88人(96データ)、軽度認知症患者群(MCI群)44人(55データ)と、認知症の症状が見られるが診断を受けていない人(未診断群)1,075人(1,361データ)、非認知症群2,336人(2,799データ)に分類して検討した。

その結果、認知障害度が増すに従いBAI値は上昇(非認知症群:0.20[0.42]、未診断群:0.58[0.41]、MCI群:1.65[1.20]、認知症群:4.18[1.02]、P<0.001)。認知症群は、認知症ではない群と比較して、BAI値で約4年の開きがあることが判明した。また、BAI値は、研究の前後に臨床医が実施した神経精神医学的スコアの結果と相関していた。

加えて、480ほどあるBAIの特徴のうち、54は認知症と有意な相関があり、213は非認知症と有意な相関があることがわかった。睡眠ステージN2とN3のδ波に関連する特徴は認知症と負の相関を示す可能性が高く、ステージWとN1のθ波とδ波の活動に関連する特徴は正の相関を示す可能性が高いことがわかった。すべての睡眠ステージにおいて、α振動は非認知症群で一貫して高いこともわかった。

睡眠時の脳波データの集積は自宅でも可能なため、BAI値の測定は将来的に、血圧の測定と同じくらい重要なプライマリケアのルーチンの一部となる可能性がある。「BAI値は、神経変性疾患のスクリーニングツールおよび疾患進行のモニタリングツールとして応用されることが期待される」と、研究グループは述べている。

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