この日の分科会で財務省は、新型コロナウイルス感染拡大による現場の負担増を踏まえ、医療団体を中心に反対意見が出ている21年度薬価改定について、「国民負担軽減等の観点から、毎年薬価改定の初年度に相応しい改定を実現させる必要がある」と実施を求めた。
実際の改定では、乖離額に着目し、全品改定を視野に入れるよう要求。薬価が高いために乖離率が相対的に小さい傾向にある先発品も幅広く改定対象にすべきとした。
また、市場実勢価格の加重平均値に対して上乗せする調整幅についても、「約20年間にわたって一律2%のまま見直されていない」と指摘。合理的な根拠も含めてあり方を見直すべきとした。
年4回の新薬保険収載については、高額化が進む傾向を念頭に、「既存医薬品の保険給付範囲の見直しと財政中立で行うことを含め、医薬品に対する予算統制のあり方を抜本的に見直すべき」と訴えた。
中央社会保険医療協議会による薬価算定プロセスにも言及し、「算定の審議経過の公開が不十分。透明性を向上させ、算定根拠の明確化を図るべき」とした。特に、原価計算方式については「開示が不十分な上、高い営業利益率が上乗せされている」とし、見直しが必要とした。
後発品の使用促進策については、シェア80%達成の可能性が高いとして、新たな目標を設定すべきとした。具体的には、バイオシミラーの新たな数量目標の設定、医療機関別に後発品使用割合を公表すること、国がフォーミュラリーのガイドライン策定に取り組む中で、後発品の選定基準を設けることなどを検討する必要があるとした。
委員からは「既存の薬価を引き下げるか、保険収載から外すなどを行う場合はきちんと基準を設けるべき」「(調整幅について)国民負担軽減の余地があるのではないか」との意見が出た。
また、後発品の数値目標について、「数量だけでなく金額で設定することも考えて良いのではないか」との声も上がった。