日本医療機能評価機構は9月29日、2019年の薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた集計結果を公表した。報告件数は14万4848件と、前年の7万9973件から倍増して過去最多を更新。このうち、医療機関で発生した処方誤りを薬局で発見した疑義照会関連の事例が11万3144件、ヒヤリ・ハット事例全体に占める割合も78.1%で共に過去最多を記録した。機構は前年と同様に、18年度診療報酬改定における地域支援体制加算の新設などが影響したと分析した。
昨年1年間に報告されたヒヤリ・ハット事例の内訳を見ると、疑義照会関連は前年から6万2114件増の11万3144件で、過去最多を更新した。ヒヤリ・ハット事例全体に占める割合も、前年の63.8%から78.1%に上昇した。
同機構は「患者のための薬局ビジョン実現のためのアクションプラン検討委員会報告書や、18年度診療報酬改定における地域支援体制加算の新設も影響している」と分析している。
20年は、新型コロナウイルス感染症の流行が報告件数に影響することが予想されるものの、今後の見通しについては「大きな影響を受けず、同様の傾向が続くのではないか」との見方を示した。
疑義照会に関する項目では、仮に変更前に処方通りに服用した場合の影響について、「患者に健康被害があったと推測される」が8万0819件(疑義照会件数の71.4%)、「患者に健康被害が生じなかったが、医師の意図した薬効が得られなかったと推測される」が3万2325件(28.6%)だった。変更内容については、薬剤変更が3万6751件、薬剤削除が3万6494件、用量変更が2万0454件だった。
一方、調剤関連は前年から2772件増加し、3万1487件となったものの、疑義照会の件数急増が影響し、事例全体に占める割合は14.2%減の21.7%だった。
<訂正>記事中、「疑義紹介」とあるのは「疑義照会」の誤りでした。お詫びして訂正します。