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【厚労省】市販後安全状況を定期報告-医薬品行政監視委スタート

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2020年09月30日 AM10:15


■初会合開く

厚生労働省は、医薬品による重篤な副作用の発生防止を目的に1日に設置された「医薬品等行政評価・監視委員会」の運営のあり方に関する議論をスタートした。28日に開いた初会合では、厚労省から治験データが乏しい条件付き早期承認品目や先駆的医薬品など安全性に関する確認状況を担当部局から定期的に報告させる案を提示。今後、2カ月に1回の頻度で開催し、定期報告のあり方については年度内に決めたい考えだ。

医薬品の市販後安全対策をめぐっては、承認時は患者数や患者背景が限定られた治験情報に限られるため、予見しなかった副作用が顕在化するリスクに対応していく必要性が指摘されている。市販後の有効性・安全性情報を集める必要性が指摘される中、今月に改正薬機法の関連省令が施行されたのを受け、1日付で同委員会が設置された。

同委員会は、医薬品による重篤な副作用の発生、蔓延防止を目的としており、厚労省医薬・生活衛生局や医薬品医療機器総合機構(PMDA)が行う安全対策の実施状況を監視・評価する。医薬品等の個別品目の安全性や薬事制度について必要に応じて厚労大臣に意見、勧告できる。

初会合では、事前に委員から募った意見を踏まえて、委員会で確認、評価する内容を厚労省が提示。▽個別医薬品等の安全性の確認状況▽薬事制度▽委員会による調査――の3項目とした。

個別医薬品等の安全性の確認状況については、委員会が医薬・生活衛生局から定期報告を求めることとした。

具体的な内容として、世界に先駆けて上市した先駆的医薬品等に関しては、治験データが乏しいことから、承認審査時の安全性の確認、市販後の安全性情報の収集・評価、海外の安全対策の措置などの状況を対象範囲とした。

薬事制度に関しては、PMDAなどから市販後安全対策の業務内容、広告規制の監視状況などをヒアリングし、対応状況を確認する。委員会は海外の薬事制度に加え、個別医薬品に関する副作用情報が疑われる症例があれば自ら調査を行う。

厚労省は、次回会合でこれら3項目の検討順位を決めたい考えだ。

この案に対して、佐藤嗣道委員長代理(東京理科大学薬学部講師)は定期報告のあり方について「医薬品等の行政に関するパブリックコメントを加えてはどうか。どのような意見があり、反映されているか一つの目安になると思う」と提案したほか、リアルワールドデータ(RWD)の現状に関して「ワクチンについては、何人の患者が使用し、起こった事象を捕捉できるツールがない。安全性、有効性を市販後のRWDで評価できる仕組みを作るか提言するのも一つの課題」と指摘した。

森豊隆志委員(東京大学医学部附属病院臨床研究推進センター長)も「RWDへの期待は大きいが、技術的問題も含めて道半ばだ。拾えていないデータがあるなら、いかに拾うかを整理して提言することが大きな役割」と述べた。

泉祐子委員(全国薬害被害者団体連絡協議会世話人)は「PMDAの組織がどう動いているか、厚労省と連携しているか、部局間の連携ができているかについて確認が必要」との考えを示した。

田村憲久厚労相は、会合の冒頭であいさつし、「様々な立場から議論し、チェック機能を十分に発揮してもらえれば、委員会の意見を尊重して薬害の再発防止を進めたい」との考えを示した。

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