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「顔写真」から冠動脈疾患を検出する深層学習アルゴリズム開発-中国国営循環器病センターほか

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2020年09月29日 PM12:30

冠動脈疾患患者特有の顔の特徴を深層学習

欧州心臓病学会は8月21日、人の顔写真データを人工知能()で深層学習し、冠動脈疾患を判別するアルゴリズムが開発されたと発表した。これは、中国国営循環器病センターのZhe Zheng教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「European Heart Journal」に掲載されている。


※イメージ

冠動脈疾患は、世界的に死因の上位であり、安価で高効率なスクリーニングツールの開発が望まれている。一方、心臓病リスクの増加と、顔に現れる特徴に関連があることは既に知られている。その特徴には、薄毛や白髪、しわ、耳たぶのしわ、黄色腫、角膜輪などが含まれる。しかし、これらを心臓病リスクの予測や定量化にうまく利用するのは困難であった。そこで研究グループは、顔の特徴から冠動脈疾患の可能性の有無を調べる、深層学習アルゴリズム開発を目指し、研究を行った。

研究グループは、2017年7月から2019年3月までの間に、中国の8つの病院から5,796人の患者を研究に登録。患者は、冠動脈造影や冠動脈CT造影(CCTA)検査を受け、無作為に学習用のグループ(学習群、5,216人)と検証用のグループ(検証群、580人)に分けられた。続いて、訓練を受けた看護師が学習群の患者1人あたり4つの角度(正面、両横顔、頭頂部)から顔写真を撮影した。看護師は患者の社会経済的状態、ライフスタイル、既往歴に関する聞き取りも行った。また、放射線科医は、患者の検査データを確認し、50%以上狭窄した血管の数とその位置に応じて、心臓病の程度を評価。この情報を基に、深層学習アルゴリズムの作成、学習、および検証を行った。

既存の評価法よりも高評価、今後は多民族で検証予定

開発されたアルゴリズムについて、2019年4月~7月の間に中国の9つの病院から登録された1,013人の患者(テストグループ、大多数は漢民族)に対し検証を実施した結果、今回開発されたアルゴリズムは、Diamond-ForresterモデルおよびCADコンソーシアム臨床スコアといった既存の方法よりも、心疾患リスク予測において優れていることが明らかになった。テストグループにおけるアルゴリズムの感度は80%、特異度は54%であった。また、同アルゴリズムのROC曲線のAUCは0.730(95%信頼区間,0.699~0.761)で、Diamond-ForresterモデルのAUC(0.730 vs 0.623,P<0.001)、CADコンソーシアム臨床スコアのAUC(0.730 vs 0.652, P<0.001)よりも高値だった。

今回は単一民族のみを対象に行った検証であり、今後、異なる民族的背景を持つ大規模な人々で検討される必要はあるが、一般集団における心臓疾患の有無を特定できるスクリーニングできるツールとして有用な可能性が示唆された。「最終目標は、受診前に心臓病のリスクを評価できる、高リスク者向けの自己申告アプリを開発することだ。将来は、スマホなどで自撮りした写真データから、詳細な検査が必要な人をあらかじめ特定できる、安価でシンプルかつ効果的なツールになることが期待される」と、研究グループは述べている。

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