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再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬「サークリサ」発売-サノフィ

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2020年09月25日 PM12:00

7つの作用機序で抗腫瘍効果を発揮する「抗CD38抗体薬」

サノフィ株式会社は8月31日、「(R)点滴静注100mg/500mg」(一般名:(遺伝子組換え)、以下、)について、「再発または難治性の多発性骨髄腫」(少なくとも2つの標準的な治療が無効または治療後に再発した患者を対象)を効能・効果として、同日より発売したと発表した。同剤の発売に伴い、同社は9月9日にメディアセミナーを開催。「再発・難治性多発性骨髄腫のアンメットニーズと新たな治療選択肢サークリサによる今後の治療展望」と題し、日本赤十字社医療センター輸血部長・骨髄腫アミロイドーシスセンター長の鈴木憲史氏が講演した。


画像はリリースより

多発性骨髄腫は、血液がんでは世界で2番目(日本では3番目)に多い血液腫瘍。日本では65~84歳で多く診断され、大部分の患者で再発が認められる。多発性骨髄腫の治療薬は複数あるが、依然として治癒が望めず、患者負担がきわめて大きい悪性疾患である。

サークリサは、多発性骨髄腫の腫瘍細胞表面に高頻度かつ一様に発現しているCD38受容体の特異的エピトープを標的とする新規モノクローナル抗体製剤。補体や免疫細胞を介さず直接的に細胞死()を誘導する働き、また、CD38の酵素活性部位に結合、酵素としての働きを阻害することで最終的にアデノシンの産生を抑え免疫応答の抑制を低減させる働きのほか、補体依存性細胞傷害、抗体依存性細胞傷害、抗体依存性細胞貪食、制御性T細胞阻害作用、NK細胞の活性化といった7つの作用機序を通じて抗腫瘍効果を発揮するよう設計されている。

サークリサとPd療法併用は、Pd療法単独と比べ、無増悪生存期間を有意に改善

サークリサをポマリドミド・デキサメタゾン併用療法()に追加した日本を含む国際共同P3試験(ICARIA-MM試験)では、Pd療法にサークリサを追加する治療を受けた群(サークリサ併用療法群、n=154)で、無増悪生存期間の中央値は11.53か月であったのに対し、Pd療法単独群(Pd群、n=153)は6.47か月と、統計学的に有意な改善が認められた(ハザード比0.596, 95%信頼区間:0.44-0.81, p=0.0010)。奏効率についても、サークリサ併用療法群は、Pd群に比べ、有意に高い奏効率を示した(60.4% vs. 35.3%, p<0.0001)。

また、追加解析の結果、実臨床を反映する患者集団である高リスク染色体異常を有する患者、75歳以上の患者、腎機能障害患者、レナリドミド抵抗例などのサブグループにおいても、サークリサ併用療法群でPd群を上回る治療上の有益性が認められた。

安全性について、サークリサ併用療法群において発現率の高かった副作用(グレードにかかわらず患者の20%以上にみられた有害事象)は、好中球減少症(96%)、インフュージョンリアクション(39%)、肺炎(31%)、上気道感染(58%)、下痢(26%)だった。サークリサ併用療法群の5%以上に現れた重篤な副作用は、肺炎(25.3%)と発熱性好中球減少症(12.3%)だった。また、サークリサ併用療法群の日本人集団における重篤な有害事象は4例(44.4%)あり、その内訳は、肺炎が2例、骨髄異形成症候群、脱水、腫瘍崩壊症候群、頭蓋内動脈瘤、心房細動、慢性閉塞性肺疾患および全身健康状態低下が各1例だった。

点滴の投与時間が短く、短期間で治療奏功、高齢患者の負担軽減にも


日本赤十字社医療センター鈴木憲史氏

鈴木氏はサークリサの特徴について、「プロテアソーム阻害剤と免疫調節薬レナリドミド治療後の選択肢の1つとなることが期待される。加えて、これまでの抗CD38抗体薬と比べて、治療奏効まで1.2か月と短期間であり、点滴静注時間もインフュージョンリアクションがない体重50kgの人であれば、初回2時間14分、2回目以降は2時間00分と短く済む」とコメント。続けて、「これまで多発性骨髄腫の治癒は難しいとされてきたが、治癒を目指せる時代となったのではないか。新たな治療選択肢が1つ増えたことは、患者の治療への不安軽減にもつながる」と、期待を述べた。

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