同事業は、東京大学病院で実施している「薬剤師による持参薬評価テンプレートを用いたスクリーニング」を導入して処方適正化の有効ツールとしての検証を実施してきた。
回復期リハビリテーション病棟(4施設)、地域包括ケア病棟(8施設)に入院する65歳以上の患者を対象に昨年7~12月に事業を実施。テンプレートを用い、スクリーニング項目の該当患者と非該当患者に振り分けた。入院中は通常の薬学管理業務を行い、退院後に対象患者の年齢、性別、薬剤数、減薬された薬剤と転帰を調査した。
回復期リハビリテーション病棟での該当患者群は183人、非該当群は83人、平均入院時薬剤数は該当群で8.2剤、非該当群は3.7剤となった。減薬された薬効は、両患者群共に解熱鎮痛・抗炎症薬の減薬数が多かった。該当患者群では、睡眠薬・抗不安薬、漢方薬、降圧薬、下剤の減薬される割合が高かった。
減薬された患者割合は該当患者群で49.7%、非該当患者群で31.3%と該当患者群で有意に減薬割合が高かった。減薬された患者117人のうち77.8%が該当患者だった。減薬患者の転帰は共に「改善」「変化なし」で95%を占め、悪化例はゼロだった。
地域包括ケア病棟(7病院)では、該当群が434人、非該当群が341人、入院時薬剤数は該当群が8.9剤、非該当群は5.8剤となった。減薬された薬効は、両群共に循環器用薬(降圧薬、利尿薬)、解熱鎮痛・抗炎症薬、消化器用薬(胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬、下剤)の割合が高かった。減薬された患者割合は該当患者群で42.4%、非該当患者群は3.2%と該当患者群の減薬割合が高かった。減薬された患者195人の94.4%が該当患者だった。患者転帰は「改善」「変化なし」を合わせると90%となった。
最終報告を受け、神村氏は「回復期リハ、地域包括ケア病棟でもテンプレートは処方適正化が必要な患者のスクリーニングツールになり得る。減薬された患者の9割以上で転帰は改善か変化なしだったことから、中止して差し支えない薬剤が減薬されたと考えられる」と説明した。