菅義偉首相が16日に発足させた自民、公明両党による連立内閣では、厚生労働相に田村憲久元厚労相が6年ぶりに再登板した。加藤勝信前厚労相は官房長官に横滑りし、萩生田光一文部科学相、梶山弘志経済産業相はそれぞれ留任した。また、マイナンバー制度などを担当するデジタル改革担当相には平井卓也元科学技術担当相を起用した。菅内閣は、7年8カ月に及ぶ安倍政権を引き継ぎ、新たな布陣で新型コロナウイルス感染症対策を最優先とした政策に取り組む。
16日午前に行われた臨時閣議で安倍内閣が総辞職し、同日午後に衆参両院の本会議で行われた首相指名選挙では菅氏が第99代総理大臣に選出された。同日夕に自民、公明両党による菅連立内閣を発足させた。
菅内閣の閣僚は、文科相や経産相をはじめ、前内閣と同じポストの再任が8人に上るなど、安倍政権の政策路線を基本的には踏襲すると見られる。新型コロナウイルス感染症対策で重要ポストとなる厚労相には、加藤氏の官房長官就任を受け、田村氏が6年ぶりに再登板することになった。
田村氏は、第2次安倍内閣で厚労相を2012年12月~14年9月まで務め、旧薬事法から医薬品医療機器等法への改正をまとめた経験を持つ。
さらに、一般用医薬品のインターネット販売に向けた新たなルール作りや高血圧治療薬「ディオバン」に関する医師主導臨床研究のデータ改ざんへの対応、危険ドラッグの対策強化などで陣頭指揮を執るなど、難局をしのいできた。
今回の再登板は、厚労行政に精通する手腕を買われての起用であり、新型コロナウイルス感染症対策から収束後を見据えた医療制度改革、社会保障制度改革にも取り組むことになる。
田村憲久(衆)=1964年12月15日生まれの55歳。千葉大学法経学部卒業後、96年の衆院選で初当選し、当選8回。厚労大臣政務官、総務副大臣、自民党厚労部会長などを歴任した。