最長3年間、安全性と有効性のプロファイルを維持
仏サノフィ社は9月8日、デュピクセント(R)(一般名:デュピルマブ)について、第3相非盲検延長試験で新たに得られた結果より、同剤の臨床試験に参加した中等症から重症の成人・青少年ぜんそく患者で得られた安全性と有効性のプロファイルは、最長3年間にわたり維持されることが明らかになったと発表した。同試験のデータは、オンラインで開催される第30回欧州呼吸器学会(ERS 2020)のライブセッションで発表予定だ。
デュピクセントは、インターロイキン4(IL-4)とインターロイキン13(IL-13)によるシグナル伝達を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体。同剤の臨床試験で得られた知見は、IL-4とIL-13がぜんそく、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎やアトピー性皮膚炎の背景にあると考えられるType2炎症で中心的役割を果していることを示している。全適応症を合計すると、世界で17万人以上の患者が同剤の投与を受けている。サノフィとRegeneron社は、アレルギーやその他のType2炎症により生じる様々な疾患を対象に、デュピルマブの臨床開発プログラムを実施している。
ERSで発表予定の解析結果には、ぜんそく患者を対象とした24~52週間にわたる3件のピボタル臨床試験等のデュピクセントの臨床試験に参加した2,200人以上のデータの解析結果が含まれている。先行試験で実薬またはプラセボの投与を受けた患者が延長試験に参加し、最長で2年間にわたる追加投与を受け、合計で最長3年間にわたるデータが得られた。
安全性解析には、ぜんそく患者を対象とした3件のピボタル臨床試験に参加した患者を対象とし、有効性とバイオマーカーの解析にはピボタル第2b相試験と第3相QUEST試験に参加し、経口ステロイド薬依存のなかった患者を対象とした。経口ステロイド薬依存性ぜんそくの患者における長期有効性データは、今後開催される会議で発表される予定だ。
重度ぜんそく増悪の発生率、平均で0.31~0.35回/年
今回の解析では、肺機能について、先行試験のベースライン時点から96週時点までの1秒量(FEV1)の変化の平均値で評価したところ、13~22%の肺機能の増加傾向がみられた。ぜんそく発作について、重度ぜんそく増悪の発生率(未調整の1年あたり発現回数)は、平均で0.31~0.35回/年だった。デュピクセントの臨床試験に参加する前の1年間の重度ぜんそく増悪の発生回数は、2.09~2.17回/年であった。
また、Type2炎症について、肺機能の増加傾向とぜんそく発作の減少は、ベースライン時点の好酸球数が高いか呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が高い患者で顕著だったという。好酸球数とFeNOはいずれもType2炎症のマーカーである。今回得られた長期データでは、先行試験のベースライン時点との比較で好酸球数の減少(23~35%)がみられたほか、ピボタル第2b相試験の参加者では血清総IgE濃度の減少(82%)が認められた。
非盲検延長試験で有害事象を発生した患者の割合は、ぜんそく患者を対象としたデュピクセントのピボタル臨床試験での割合と同程度であった。96週間の治療期間中、有害事象の発現率は76~88%、特に発現率の高い有害事象は鼻咽頭炎(18~26%)と注射部位紅斑(2~23%)だった。重篤な有害事象の発現率は9~13%だったとしている。
▼関連リンク
・サノフィ株式会社 プレスリリース