昨年度から新たな薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した実務実習が始まっている。集合研修や講義で教えられることは大学で学び、医療現場で幅広い事例や症例を体験しながら身に付けていく「参加・体験型学習」では、大学が主導して病院や薬局と連携して実施することが示されている。
日薬は、実務実習の実施状況などの課題を検討するため、昨年度に実務実習を受け入れた薬局4306軒に調査票を配布し、2482軒から回答を得た。
参加・体験型実習の実施状況を聞いたところ、在宅医療の実践は概ね高く評価していたが、セルフメディケーション支援の実践は「あまりできなかった」「どちらかと言えばできなかった」が約35%に上り、多くの薬局で対応に苦慮していることが分かった。
病院・薬局・大学間のガイドラインに基づいた実習連携では「よくできた」が3.8%、「どちらかと言えばできた」が24.3%にとどまった一方、「どちらかと言えばできなかった」が27.6%、「あまりできなかった」が44.6%と不十分との回答が約7割を占めた。
地域によって取り組み状況に差があるようだ。九州や中四国、東海は「あまりできなかった」が全国平均値を上回る約5割に達しているが、北陸では「よくできた」「どちらかと言えばできた」が約4割で、「あまりできなかった」は28.0%と少なかった。
一方、トライアル実習を実施した薬局は2018年度に50.2%と初めて半数を超え、16年度の13.8%、17年度の22.3%から増加した。改訂コアカリに基づく実習については、「スムーズにできた」が36.5%、「苦労はあったができた」が58.3%と9割以上に達した。参加・体験型実習に向け、評価のための方略を見直した薬局も約7割あった。
日本薬剤師会の永田泰造理事は「概ねスムーズに改訂コアカリに基づく実習への移行が行えているが、一部で問題が抽出されている」と指摘した上で、「ガイドラインが定められている大学による病院・薬局間連携が実施されていないのは大きな問題」と訴えた。
連携状況に地域差が生じていることについては、「地域の調整評価機構が各大学に対して、薬局・病院実習の連携のあり方についてきちんと指導を行っているのか、個々の大学が連携のあり方について考えているのか非常に疑問を持っている。しっかりとした役割を大学として果たしていただきたい」と述べた。