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【日本学術会議が提言】患者情報把握できる環境を-薬局での薬学的管理に必須

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2020年09月16日 AM11:15


■日本学術会議が提言

日本学術会議は、薬学委員会に設置した薬剤師職能とキャリアパス分科会が策定した提言「持続可能な医療を担う薬剤師の職能と生涯研鑽」を発表した。薬剤師を取り巻く環境の変化を踏まえ、今後求められる職能の方向性をアカデミアの立場から示すと共に、実現に必要な社会システムや生涯研鑽のあり方を具体的に提示した。提言では過去の提言内容を拡充したほか、新たに適正な薬学的管理を行う上で必要な患者情報を薬局薬剤師が把握できるような社会環境の整備を強く求めている。

提言は、薬剤師の職能や社会制度のあるべき姿について五つの柱でまとめた。具体的には、▽地域医療への能動的関与▽薬学的管理に必要な患者情報の確保▽卒前教育と卒後教育の調和▽領域別認定・専門薬剤師制度の改革▽薬剤師レジデント制度の整備――を求めている。

社会の中で薬剤師が持てる力をより発揮しやすくなるように、職能団体ではなく、アカデミアという第三者的な立場からあるべき姿を提言したことが特徴。薬剤師自身に自覚や能動的な行動を促すだけでなく、職能を発揮するために必要な社会システムの整備を求めており、提言の内容を医療政策等に反映してもらいたい考えだ。

日本学術会議は、過去にも薬剤師の職能や生涯研修のあり方について提言を発表してきた。これまでの内容を引き継ぎ拡充する形で盛り込んだほか、新たに「薬学的管理に必要な患者情報の確保」を強く求める格好となった。

現在、薬局薬剤師は応需した処方箋を頼りに様々な情報を患者から聞き出しているが、得られる情報には限界がある。こうした背景から、提言では病名、検査値、アレルギー歴など様々な患者情報が「処方箋を発行する医療機関から確実に提供されるようなシステムの構築が必須」と強調。これによって「医師の処方意図を理解した上での調剤が可能となり、薬物療法の有効性、安全性の向上が期待される」としている。

同分科会委員長の安原眞人氏(帝京大学薬学部特任教授)は「薬局薬剤師は明らかに情報不足にある。適正な薬学的管理を行うために、必要な様々な情報が医療チームの一員である薬局薬剤師にも分かるようにしてほしいと提言している。必要な社会環境を整備すべきと行政に訴えている」と話す。

その他に提言では、薬局薬剤師に向けて、地域医療の中で多職種と連携し積極的に役割を果たすよう求めた。医薬分業のメリットが十分に見えないとの批判の声もある中、「薬局から地域に出て多職種と協働することによって、薬剤師の活動が広く社会から認知され、患者のため、地域のために役立つ薬剤師職能の発揮につながる」としている。

また、これまでと同様、今回の提言にも卒前教育から卒後初期臨床研修、その後の専門領域研修や認定・専門薬剤師制度に至る全体的な教育・研修体制やキャリアパスの整備を進めるべきとの考えを盛り込んだ。

具体的には「薬剤師を呼称する領域別認定・専門制度が国民から理解されるよう名称の整理や認定基準の整合性を図ると共に、制度の質保証の仕組みを見直しさらに検討すべき」「薬剤師レジデント制度の推進に向けてあり方の検討が必要」などと求めた。

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