1日1回経口投与のS1P受容体調整薬、SPMSに対し初めて有効性を証明
ノバルティス ファーマ株式会社は9月14日、二次性進行型多発性硬化症(以下、SPMS)に対して有効性を証明した初めての1日1回経口投与の多発性硬化症治療薬「メーゼント(R)錠0.25mg、2mg」(一般名:シポニモド フマル酸)を新発売し、同時に「メーゼント(R)錠 投与のためのCYP2C9検査結果無償提供プログラム」を開始したことを発表した。
画像はリリースより
メーゼントは、S1P1およびS1P5受容体に選択的に結合するS1P受容体調整薬。S1P1受容体に作用することにより、リンパ球がリンパ節から移出することを防ぎ、その結果、それらのリンパ球が多発性硬化症患者の中枢神経系(以下、CNS)に移行することを防ぐ。これにより、メーゼントの抗炎症作用が発揮される。また、メーゼントはCNS内に移行し、CNS内の特定の細胞であるオリゴデンドロサイト上のS1P5受容体およびアストロサイト上のS1P1受容体と結合し、ミエリン再形成の促進作用と神経保護作用が非臨床試験で示唆されている。
CYP2C9遺伝子型の確認が必須、検査の保険適用まで無償提供プログラム実施
メーゼントは、遺伝子多型のあるCYP2C9で主に代謝される。よって、CYP2C9遺伝子型の違いにより患者への暴露量に違いが生じることが想定されている。そのため、同剤では、治療開始前にCYP2C9遺伝子型を確認する検査を行うことが必須となっており、CYP2C9の遺伝子型に応じて、同剤の漸増投与後の維持用量を患者ごとに調整することとなっている。
メーゼントの投与を目的としたCYP2C9遺伝子型を判定するための体外診断用医薬品「eQ-PCRTM LC CYP2C9*2, *3ジェノタイプキット」について、パシフィックブリッジメディカル株式会社が2020年8月31日に承認を取得した。 しかしながら、現時点で同キットを使用した検査は、保険適用となっていないことから、必要な検査を受けられず、メーゼントによる治療機会を失う患者の存在が懸念される。そこで、同キットによる検査が保険適用となるまでの間、患者が同キットによる検査を受けられるよう、同社は「メーゼント(R)錠投与のためのCYP2C9検査結果無償提供プログラム」を実施することとした。
日本において同社は、「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能又は効果として「ジレニア(R)」(一般名:フィンゴリモド塩酸塩)を発売している。今回、メーゼントを新発売し、また、CD20陽性B細胞を標的とする完全ヒトモノクローナル抗体のオファツムマブ(OMB157)を、日本で多発性硬化症に対する治療薬として開発している。
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・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース