静岡県内の2次・3次救急病院の利用者を調査
浜松医科大学は9月14日、年5回以上の救急外来利用者について、静岡県内の2次/3次救急病院での割合を調査したところ、受診者の約0.6%、受診件数全体の4.1%、医療費の1.9%を占めていたことが明らかになったと発表した。これは、同大地域家庭医療学講座の金子惇特任助教(研究当時、現・横浜市立大学講師)、井上真智子特任教授らが、米ピッツバーグ大学、ミシガン大学、ラトガース大学と共同で実施した研究によるもの。研究成果は、国際医学雑誌「BMJ Open」に掲載されている。
同じ人が複数回救急外来を受診する「頻回救急外来受診」は、救急外来の負担や医療費増大などの観点から世界的に課題となっている。しかし、日本ではこれまで単施設についての報告が主で、費用に関する検討も十分ではなかった。そこで今回、静岡県内の2病院の協力を得て、頻回救急外来受診者の割合および2次救急病院と3次救急病院での頻回救急外来受診者の特徴の違いを調査。年に5回以上の救急外来利用者を「頻回救急外来受診者」と定義した。
頻回救急外来受診者の総医療費に占める割合は1.9%、諸外国の先行研究よりは低い
静岡県内の2次救急病院、3次救急病院それぞれ1か所の救急外来を1年間に受診した2万388人(2万5,231件)の診療録を調査したところ、頻回救急外来受診者は134人(1,043件)で全体の4.1%だった。これらの頻回救急外来受診者にかかる医療費の合計は7200万円で、2病院の総医療費に占める割合は1.9%であった。頻回救急外来受診に関連する要因は年齢、生活保護受給が有意となっていた。
今回の調査結果では、諸外国の先行研究に比較して、頻回救急外来受診者の割合や医療費に占める割合の少ないことがわかった。今後、この結果が日本の他の地域にも当てはまる傾向なのか、もしそうであればなぜ日本では少ないのかなどの研究につなげていく予定。「外国では患者・医療機関双方の負担を減らすために頻回救急外来受診を適切に減らす方法が検討されており、日本でもその様な研究につながっていくと考えられる」と、研究グループは述べている。
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・浜松医科大学 研究成果 プレスリリース