■全体的には改善傾向
厚生労働省は11日、2019年度「医薬品販売制度実態把握調査」(覆面調査)の結果を公表した。前回調査に比べて全体的に改善傾向が示されたものの、エフェドリンやコデインなどを含む「濫用の恐れがある医薬品」の販売ルールを遵守していない店舗やインターネット販売サイトが依然として多く存在していることが分かった。特にインターネットでの販売では、5年連続で遵守率50%を満たしておらず、改善が必要な実態が浮き彫りとなった。
調査は、薬局・薬店が店舗やインターネットで要指導医薬品や一般用医薬品が適正に販売されているかどうかを把握するため、調査員が消費者を装って実施しているもの。今回は、5036の店舗(薬局1880件、店舗販売業3156件)、500件のインターネット販売サイトを対象に実施した。
店舗販売の調査結果は、前回に比べて全体的に改善しており、要指導医薬品で「購入者が使用しようとする者本人かどうかの確認」は87.1%(前回80.0%)となり、文書による情報提供も75.3%(75.0%)と微増した。
濫用の恐れのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応について、「質問等されずに購入できた」が30.6%(48.0%)と大幅に減り、4年連続で遵守率が低下した前回調査から改善した。販売方法が適切であった店舗の割合は、薬局が79.4%(53.4%)、ドラッグストアが69.1%(51.9%)といずれも増加した。
ただ、第1類医薬品で情報提供を行っていた店舗は89.7%(90.7%)、文書を用いた情報提供の割合は68.8%(70.6%)と2年連続で減少しており、遵守率が低下していることが示された。
一方、インターネット販売の調査結果では、店舗販売に比べて販売ルールの徹底に課題があることが浮き彫りになった。濫用のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応について、「質問等されずに購入できた」が54.1%(前回53.2%)と前回から増加し、「一つしか購入できなかった」「複数必要な理由を伝えたところ、購入できた」など販売方法が適切であった割合が5年連続で50%を割り込んだ。
さらに、第2類医薬品の販売で「相談に対応した者の資格が薬剤師または登録販売者であること」が確認できた割合は46.9%にとどまり、店舗販売の89.7%に対し、遵守率に大きな開きがあった。
厚労省医薬・生活衛生局総務課は、濫用の恐れがある医薬品販売のルール遵守について、「インターネット販売の50%以下という遵守率はあまりにも低すぎるのではないか。店舗販売については前回に比べて改善したとはいえ、本来は遵守しなければならないルールで7割を下回っていることを考えるとまだ課題がある」と指摘。今後、都道府県に対して通知を発出し、事業者への遵守徹底を呼びかけていく。