新型コロナウイルス感染症ワクチンを開発する製薬9社は米国時間の8日、第III相試験で有効性と安全性が実証されなければ、承認申請や緊急使用許可申請を行わないとする誓約書に署名した。新型コロナウイルス感染症治療薬・ワクチンの緊急使用許可を推進する米FDAに対し、ワクチン開発では大規模臨床試験で十分なデータ集積が必要と一致。共同声明に至った。
誓約書に署名したのは、米ファイザー、英アストラゼネカ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、英グラクソ・スミスクライン、米メルク、仏サノフィ、米モデルナ、米ノババックス、独ビオンテックの9社。
共同声明では、「接種を受けた人の安全が最優先事項」と強調。新型コロナウイルス感染症ワクチンが承認されるためには、多様な集団、多数の健康成人が参加し、無作為盲検化された臨床試験計画が設計される必要があるとした。
その上で、各国規制当局の要件に合致した第III相試験で有効性・安全性を実証した後にのみ、承認申請または緊急使用許可申請を提出すると宣言した。
通常であれば、各国規制当局に医薬品・ワクチンの早期実用化を求める製薬企業が、新型コロナウイルス感染症ワクチンでは真逆の立場に転じている。
米FDAは、新型コロナウイルス感染症治療薬として、5月に抗ウイルス薬「レムデシビル」、8月にはウイルス感染から回復した人の血漿を用いた血漿療法を緊急使用許可した。ワクチンについても早期開発を推進する「ワープ・スピード作戦」を展開する。
ただ、健常人に接種するワクチンに対しては、有効性・安全性が判断できていない状態下で緊急使用許可を行うことに懸念が強いことから、ワクチン開発メーカーが足並みを揃える格好となった。