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母体副腎腫瘍による女胎児の男性化に、男性ホルモン「11oxC19s」が関与-新潟大ほか

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2020年09月14日 PM12:15

女性胎児男性化に関与する男性ホルモンはあるのか

新潟大学は9月9日、出生時に原因不明の男性化が認められた女性新生児の研究を行い、近年ヒトで発見された新たな男性ホルモンである「11-oxygenated C19ステロイド()」が母体において高値であったことが、この症例が胎生期に男性化を起こした原因であることを発見したと発表した。これは、同大医歯学総合病院小児科の長崎啓祐講師(病院准教授)のグループと、国立成育医療研究センター分子内分泌研究部の深見真紀氏らとの共同研究によるもの。研究成果は、「Human Reproduction 2020」に掲載されている。


画像はリリースより

妊娠中の母体に副腎腫瘍が発生した場合、しばしば女性胎児の男性化が生じることが知られている。これは、副腎腫瘍で「」と「アンドロステンジオン」というよく知られた男性ホルモンが作られるためと説明されているが、これらはどちらも胎盤を通過する際に不活性化されるため、本当に女性胎児男性化の原因であるかどうか疑問とされていた。そこで研究グループは、男性化した女性新生児の母親に対するホルモン検査や画像検査、新生児に対する遺伝子検査やホルモン検査を行い、その原因を調査した。

母親の副腎腫瘍で「11oxC19s」高値、胎盤を通じて胎児へ

結果、母親に副腎腫瘍が見つかり、血中から高い値の11oxC19sが検出された。一方、テストステロンとアンドロステンジオンは正常範囲内であった。新生児には疾患原因となる異常が見らなかったことから、この児の男性化の原因は11oxC19sであると考えられた。11oxC19sの値は腫瘍除去後に正常化したという。

11oxC19sは、従来魚類の男性ホルモンとして知られていたが、2016年にヒトにも存在し、男性ホルモンとして作用することが発見された。その後、副腎での11oxC19s過剰産生が、多嚢胞性卵巣症候群女性や先天性副腎酵素欠損症女性の男性化に関与する可能性があると報告された。11oxC19sは、副腎で産生され、不活性化されずに胎盤を通過する。

この研究により、11oxC19sが男性ホルモンとしてヒト胎児の体内で重要な作用を発揮することがはじめて明らかとなった。「このホルモンは出生後の男女の体内でも一定量産生されており、ヒトの健康にさまざまな影響を及ぼしている可能性がある」、と研究グループは述べている。

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