222nm紫外線でインフルや他コロナウイルスで不活化効果、新型コロナには?
広島大学は9月2日、紫外線照射装置「Care222(TM)」を用いて、中心波長222nm紫外線による新型コロナウイルス不活化効果を世界に先駆けて明らかにしたと発表した。これは、同大病院感染症科の北川浩樹診療講師、野村俊仁診療講師、大毛宏喜教授と同大大学院医系科学研究科ウイルス学の坂口剛正教授の研究グループによるもの。研究成果は、「American Journal of Infection Control」オンライン版に掲載されている。
新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染、接触感染により伝播すると考えられている。実際に、新型コロナウイルス感染症患者を診療した病室のベッド柵などからも新型コロナウイルスが検出されている。医療機関において、消毒剤を使用して手による清掃が行われてきたが、紫外線などの非接触型ウイルス不活化技術に注目が集まっている。
近年、医療機関において、紫外線などの非接触型殺菌・ウイルス不活化技術が徐々に使用されるようになってきた。しかし、これらの紫外線照射機の多くが波長254nm紫外線を使用しており、人の目や皮膚への障害性から、人のいない環境で使用されている。一方で、波長222nm紫外線は、254nm紫外線と同等の殺菌・ウイルス不活化効果を認め、254nm紫外線と比較して目や皮膚への障害性が少ないという報告が増加している。222nm紫外線によるインフルエンザウイルスや他のコロナウイルスへの不活化効果は報告されていたが、新型コロナウイルスへの不活化効果は明らかではなかった。
照度0.1mW/cm2の222nm紫外線を30秒間照射で99.7%不活化
今回研究において、ウシオ電機株式会社製の紫外線照射装置「Care222」を用いた。同装置は、KrClエキシマランプより出力された紫外線を、フィルターにより狭波長とした222nmをピークとする200~230nm領域の紫外線ランプである。プラスチック上の乾燥した環境において、照度0.1mW/cm2の222nm紫外線を10秒間照射で88.5%、30秒間照射で99.7%の新型コロナウイルス不活化を確認した。一般的に用いられる定量逆転写PCR法は、不活化されて感染力のないウイルスも検出してしまうため、培養法を用いて紫外線によるウイルス不活化効果を評価した。
「222nm紫外線は、目や皮膚への安全性の報告が増加しており、今回新型コロナウイルスへの不活化効果が明らかになったことで、有人環境下での222nm紫外線による新型コロナウイルス感染対策への応用が期待される」と、研究グループは述べている。
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・広島大学 研究成果