医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 波長222nm紫外線が新型コロナウイルスを不活化、感染対策に期待-広島大ほか

波長222nm紫外線が新型コロナウイルスを不活化、感染対策に期待-広島大ほか

読了時間:約 1分39秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年09月10日 AM11:30

222nm紫外線でインフルや他コロナウイルスで不活化効果、新型コロナには?

広島大学は9月2日、紫外線照射装置「(TM)」を用いて、中心波長222nm紫外線による新型コロナウイルス不活化効果を世界に先駆けて明らかにしたと発表した。これは、同大病院感染症科の北川浩樹診療講師、野村俊仁診療講師、大毛宏喜教授と同大大学院医系科学研究科ウイルス学の坂口剛正教授の研究グループによるもの。研究成果は、「American Journal of Infection Control」オンライン版に掲載されている。

新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染、接触感染により伝播すると考えられている。実際に、新型コロナウイルス感染症患者を診療した病室のベッド柵などからも新型コロナウイルスが検出されている。医療機関において、消毒剤を使用して手による清掃が行われてきたが、紫外線などの非接触型ウイルス不活化技術に注目が集まっている。

近年、医療機関において、紫外線などの非接触型殺菌・ウイルス不活化技術が徐々に使用されるようになってきた。しかし、これらの紫外線照射機の多くが波長254nm紫外線を使用しており、人の目や皮膚への障害性から、人のいない環境で使用されている。一方で、波長222nm紫外線は、254nm紫外線と同等の殺菌・ウイルス不活化効果を認め、254nm紫外線と比較して目や皮膚への障害性が少ないという報告が増加している。222nm紫外線によるインフルエンザウイルスや他のコロナウイルスへの不活化効果は報告されていたが、新型コロナウイルスへの不活化効果は明らかではなかった。

照度0.1mW/cm2の222nm紫外線を30秒間照射で99.7%不活化

今回研究において、ウシオ電機株式会社製の紫外線照射装置「Care222」を用いた。同装置は、KrClエキシマランプより出力された紫外線を、フィルターにより狭波長とした222nmをピークとする200~230nm領域の紫外線ランプである。プラスチック上の乾燥した環境において、照度0.1mW/cm2の222nm紫外線を10秒間照射で88.5%、30秒間照射で99.7%の新型コロナウイルス不活化を確認した。一般的に用いられる定量逆転写PCR法は、不活化されて感染力のないウイルスも検出してしまうため、培養法を用いて紫外線によるウイルス不活化効果を評価した。

「222nm紫外線は、目や皮膚への安全性の報告が増加しており、今回新型コロナウイルスへの不活化効果が明らかになったことで、有人環境下での222nm紫外線による新型コロナウイルス感染対策への応用が期待される」と、研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 前立腺がん、治療決定時SDMが患者の治療後「後悔」低減に関連-北大
  • 糖尿病管理に有効な「唾液グリコアルブミン検査法」を確立-東大病院ほか
  • 3年後の牛乳アレルギー耐性獲得率を予測するモデルを開発-成育医療センター
  • 小児急性リンパ性白血病の標準治療確立、臨床試験で最高水準の生存率-東大ほか
  • HPSの人はストレスを感じやすいが、周囲と「協調」して仕事ができると判明-阪大