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【がん研究センター】日本主導でアジア試験網-抗癌剤開発の基盤構築へ

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2020年09月09日 AM10:45

国立がん研究センター中央病院は、日本主導によるアジア国際共同試験ネットワークの構築に向け、「アトラスプロジェクト」を開始した。抗癌剤開発を推進するマレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムと連携し、アジア地域で医師主導による国際共同治験のプラットフォーム構築を目指す。今後、患者レジストリを用いた希少癌、アジアで罹患率が高い子宮頸癌のアジア共同治験を計画し、恒常的に5試験以上の国際共同治験を実施できる体制を整備したい考え。

アジア地域における抗癌剤開発をめぐっては、企業治験の実施機会が少なく、使用可能な抗癌剤の数が限られるなど治験実施体制の整備が課題となっている。

同院では、日本医療研究開発機構の国際共同臨床研究推進事業の拠点に選定され、日本や韓国、台湾、香港、シンガポールでの早期新薬開発拠点ネットワークの構築や、アジアでの薬事申請を目指したGCP対応の国際共同医師主導治験、アカデミア主導の国際共同治験の実施などに取り組んできた。

アトラスプロジェクトでは、同院が中心となり、ASEANの重点国であるマレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンの各拠点施設と連携し、第I相試験や医師主導治験の実施、癌ゲノム医療の実装に向けた基盤整備を推進する。日本がアジア諸国と共同治験を実施することにより、迅速な新薬承認につなげる。

具体的には、アジア各国の医師や治験コーディネーター(CRC)を対象に各国のニーズに合わせた教育研修機会を提供。拠点施設で臨床研究に従事するスタッフを同病院に受け入れ、実地での教育研修を行う。

さらに、同事業に参加する海外拠点の治験体制整備を通じて、治験実施に必要な臨床検査や診断機器などを施設に設置し、高い品質で治験が実施できる体制を整備する。各施設で常勤CRCを雇用し、治験事務局や臨床研究支援部門の強化を行う。

プロジェクトの一環として、子宮頸癌を対象に日本とアジアで未承認の薬剤を対象とした第II相医師主導治験を実施する。マレーシアから3拠点、ベトナムから2拠点が参加する予定。

また、同院が2017年から実施してきた希少癌治療薬開発を推進するためのプラットフォーム試験をアジア諸国に拡大する。製薬13社が参画し、1000人以上の希少癌患者が登録されているレジストリを用いて、八つの医師主導治験と五つの企業治験が進行中。プロジェクト参加国からの患者登録を進め、アジア展開を加速する。

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