医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、新型コロナウイルスに対するワクチンについて、国内での開発に求められる有効性・安全性の評価に関する考え方を公表した。日本人対象に有効性を確認する臨床試験を行うことや海外で発症予防効果が確認されたワクチンを対照に比較試験で有効性を確認できることを挙げ、製造販売後は現時点で確認されている有害事象を踏まえた安全対策の構築、情報提供などを求めた。
PMDAが示した考え方では、新型コロナウイルスワクチンは、民族的要因の差が有効性、安全性に影響することが考えられるため、海外で発症予防効果の評価を目的とした大規模検証的臨床試験が行われる場合でも、国内臨床試験を実施して日本人の被験者で有効性等を検討する必要があるとした。
有効性の評価に関しては、発症予防効果について代替となる評価指標が明らかになっていないため、発症予防効果を評価する臨床試験が必要とした。海外で有効性が確認されたワクチンが国内で利用可能となった場合、そのワクチンを対照とした比較試験を実施することで有効性を評価できる可能性もあるとした。
安全性の評価は、接種後7日間に確認された疼痛などの局所反応、発熱や筋肉痛などの全身反応のほか、少なくとも接種後28日間に見られた有害事象も収集するよう求めた。
重症化リスクが高い高齢者では、成人の接種経験が一定程度得られた後、可能な限り早期に臨床試験を行うことが望ましいとした。海外で開発されたワクチンについても、国内での臨床試験を実施する必要がある一方、海外で選択された用法・用量を用いることができるとしている。
開発進行中のワクチンの中には、一定の有害事象が報告されているものもあるため、製造販売後の対応として、これらを踏まえた接種時の安全対策や情報提供を求めた。
また、国内外の安全性情報を速やかに収集し、新たに得られた安全性情報を医療機関に提供する体制も構築すべきとした。
遺伝子組み換えウイルスを有効成分とするワクチンを国内で臨床試験する場合は、遺伝子組み換え生物の使用を規制するカルタヘナ法に沿った対応を求めた。