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大規模な骨の修復、生体材料+骨粗しょう症薬によって実現できる可能性-東北大ほか

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2020年09月01日 AM11:15

大規模な骨欠損を簡便に修復する技術開発が望まれる

東北大学は8月31日、生体材料「」埋入時に骨粗しょう症治療薬「」を添加することで、大きな骨欠損を飛躍的に修復させる技術を開発したと発表した。これは、同大大学院医工学研究科の鎌倉慎治教授、同歯学研究科の松井桂子助教、高橋哲教授、岩手医科大学歯学部の川井忠講師らのグループによるもの。研究成果は、「Tissue Engineering Part A」電子版に掲載されている。


画像はリリースより

大きな骨欠損は、生活を送っていく上でさまざまな障害を伴う。その治療は容易でなく、自家骨移植や生体材料(人工骨)を用いた骨再生を必要とする場合が多くある。同大は2019年、日本ハム株式会社、東洋紡株式会社との産学連携によって、歯科・口腔外科領域の骨欠損に対して自家骨移植を回避できる生体材料OCPcolを製品化(商品名:コラーゲン使用人工骨「(R)」)している。OCPcolは、(1)骨形成細胞分化や血管新生を促し、優れた骨再生能と生体吸収性を示すこと、(2)細胞や成長因子の補充なしで骨再生を実現すること、(3)できた骨は元の骨と同等な性質を示すこと、(4)使用法が簡便で煩雑な操作や管理体制が不要で、優れた費用対効果を持つことが知られている。

一方、骨粗しょう症治療薬(反復皮下投与)として広く使用されている「テリパラチド」(TPTD)と生体材料を局所して骨欠損修復を行うという試みはすでに国内外で行われてきた。TPTDは骨形成促進作用を有することが知られている。しかし、臨床現場で想定される大規模な骨の修復に対しての有用性は確立されていない。

OCPcol+TPTDで骨欠損修復、市販人工骨+TPTDでは修復に至らず

今回、TPTDを添加したOCPcolにより、大きな骨欠損の修復が可能となることが明らかになった。OCPcol+TPTDは、1か月後の試料埋入部は、既存骨と明瞭に区別されるが、3か月後では埋入部全域に淡い不透過像が見られ、6か月後では不透過度を増し、前後に離断された大きな骨欠損をつないでいた。また、OCPcol単独に比べ、早期に骨欠損全域で骨修復が行われ、全ての実験例において、大きな骨欠損は十分量の骨組織に置換したことが確認された。一方、市販人工骨+TPTDでは、6か月後に至るまで、試料埋入部は不透過像で満たされることなく、骨欠損部が骨修復されることはなかった。TPTDの添加はOCPcol埋入時のみで、追加投与は必要としないという。

今回の研究により、TPTDを滴下したOCPcolによって、大きな骨欠損が修復される可能性が示唆された。「この方法は、大きな骨欠損に対する標準的治療法である自家骨移植に代わりうる治療法として期待でき、さらに、その簡便な方法は緊急手術を含めたさまざまな医療現場における応用が期待される」と、研究グループは述べている。

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