■政府が確保方針
政府は、来年前半までに新型コロナウイルス感染症ワクチンを全国民に提供できる数量を確保する方針を公表した。米バイオベンチャーのモデルナが開発する新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、武田薬品の流通・販売のもと、来年上半期から約4000万回分の供給を受けられる基本合意を締結した。加藤勝信厚生労働相は28日に記者会見し、「最終契約に至っていないが、ファイザーとアストラゼネカからの供給を単純に足し合わせれば、全国民に供給できる量を超えることになる」と述べた。
加藤氏は「ワクチンを来年前半までに全国民に提供できる数量を目指し、国内外を問わずワクチンの供給に関する契約を進めていく」と語った。7月に米ファイザー、今月にアストラゼネカとワクチンの供給で基本合意しているが、さらに今回、米モデルナが開発するワクチンを武田薬品の流通・販売のもと、来年上半期から約4000万回分の供給を受けられる契約の基本合意に至った。
モデルナが開発中のワクチンは、現在第III相試験を実施中。予防効果を示すのに2回接種が必要となるため、国内で供給を受けられるのは約2000万人となる。来年上半期までにファイザーとは約6000万人分、アストラゼネカとは約1500万人分の供給で基本合意しており、加藤氏は「(モデルナのワクチンを合わせると)国民の皆さんが接種し得る量になるので、各社と協議していきたい」と語った。
また28日の閣議では、海外の輸入ワクチン使用で健康被害が起きた場合に、海外メーカーの損害を国が肩代わりする損失補償についても、接種の開始前までに法的措置を講ずることが了承された。
加藤氏は、「新型インフルエンザワクチンでも2010年7月時点で、少なくとも20カ国以上と購入契約で企業への損失補償の存在が確認されている。海外メーカーから見ると供給契約に損失補償がついていることが一つの前提になる」と述べた。