厚生労働省は26日、65歳以上の高齢者や医療者などを季節性インフルエンザワクチンを優先的な接種対象者とする案を感染症部会と予防接種基本方針部会の合同会議に示し、概ね了承された。新型コロナウイルス感染症の流行で同ワクチンの需要増も予想される事態に対応するもので、高齢者は10月前半から、それ以外の人は10月後半から接種開始するよう呼びかける。
新型コロナウイルスの流行が続く中、厚労省は季節性インフルエンザワクチンの需要も高まる可能性を考慮し、2015年以降で最大供給量となる約6350万人分の4価ワクチンを確保する見通しを示している。この日の部会では、同ワクチンを優先的に接種すべき対象者を示した。
具体的には、ワクチン接種を希望する人のうち、日本感染症学会の提言内容を踏まえ、65歳以上の高齢者など定期接種対象者、65歳未満で基礎疾患を持つ人、医療者、妊婦、乳幼児から小学校2年生までの子供に対して、接種機会を逃さないよう呼びかけるとした。
呼びかけと接種時期として、定期接種対象者には9月中に周知した上で10月前半から接種開始し、それ以外の人は10月後半まで接種を待ってもらうよう伝えることとした。
厚労省の案に対して、今村顕史委員(がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長)は、「ここ数年は接種できない人の情報が9月に報道され、結果的にワクチンの需要を増やしているので、リスクコミュニケーションに関する準備をすべき」と訴えた。
中野貴司委員(川崎医科大学小児科教授)は「接種の優先順位は決して対象者以外を排除するものではない。国民の共通理解を得られるよう情報提供する必要がある」との考えを示した。
これらの意見を踏まえ、正林督章健康局長は「丁寧なリスクコミュニケーションが重要と痛感している。接種優先者以外の人にもいずれ順番が回ってくるとのメッセージを出すことも大事」との認識を示した。