新型コロナウイルス感染症対策分科会は21日、ワクチン接種に関する現時点での考え方をまとめ、政府に提出した。感染拡大と重症化を防ぐ観点から、優先的に接種を行う対象者として、高齢者、基礎疾患を持つ人、感染患者を直接診察する医療者を挙げた。接種時期は薬事承認後としつつ、市販後調査等と並行して接種を進める。
分科会が示した考え方では、呼吸器ウイルス感染症に対するワクチンでは重症化の予防効果が期待されるものの、発症予防効果、感染予防効果については今後の評価を待つ必要があるとした一方、安全性と有効性が妥当なワクチンが開発された時に備え、今から準備を進めるべきとした。
接種時期は、安全性、有効性に関する薬事承認が行われた後としつつ、多数の人に接種開始された後に初めて明らかになる安全上の課題があるとして、現実社会での有効性を検討する疫学調査と市販後調査を行いながら接種を進める必要があるとした。
接種対象者については、「一度に全ての対象集団に接種を行うことは不可能」とし、国が感染拡大と重症化の防止を重視して対策を進めてきたことを踏まえ、高齢者、基礎疾患を持つ人、これらの人に対して新型コロナウイルスの診療を直接行う医療者に優先して接種を行うべきとした。
特定の医療者の接種を優先する場合、感染疑いの患者を積極的に診療する医療者や救急隊員、積極的疫学調査を行う保健所職員、高齢者や基礎疾患を持つ人が入居する施設で勤務する人、妊婦を含めるかどうかについては今後も検討が必要とした。
実際に接種を行う際は、地方自治体や医療機関等と十分に連携し、地方自治体の負担が生じないよう政府が財政措置を行うことを求めた。