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ファセンラ、重症好酸球性喘息対象P3b試験で喘息増悪率を有意に抑制-英AZ

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2020年08月19日 AM11:45

標準治療で治療中のコントロール不良の重症喘息患者対象、プラセボに対するファセンラ30mgの安全性と有効性を24週間で評価

英アストラゼネカ社は8月5日、(一般名:)について、第3b相ANDHI試験において重症好酸球性喘息患者の喘息増悪率を有意に抑制したことを発表した。データは2020年米国胸部学会(ATS)のバーチャル国際会議で発表された。

ファセンラは、好酸球表面のIL-5受容体αに結合することで、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性により、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が好酸球を直接的にアポトーシス(プログラム細胞死)させ、速やかかつほぼ完全に除去するモノクローナル抗体。協和発酵キリンの完全出資子会社であるBioWa社から導入され、アストラゼネカにより開発された。現在、米国、EU、日本、その他数か国において、重症喘息治療の追加維持療法として承認されており、数か国で承認申請中。また、同剤は現在、重症の鼻茸、その他の好酸球性疾患および慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する治療薬としても開発中だ。

ANDHI試験は、標準治療による治療中のコントロール不良の重症喘息患者を対象とし、プラセボに対するファセンラ皮下注30mgの安全性と有効性を24週間で評価する第3b相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験。同試験は、効果発現および健康関連QOLを含む、ファセンラの重症好酸球性喘息患者に対する有効性と安全性に関する知見と理解を深める目的で実施された。

主要評価項目はプラセボに対するファセンラの年間喘息増悪率の低下で、副次的評価項目は患者の疾患特異的なQOL評価指標のひとつであるSt.George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)の総合スコア、肺機能の指標である努力性呼気1秒量(FEV1)および喘息コントロールの指標であるAsthma Control Questionnaire 6(ACQ-6)スコア。ベースライン時に鼻茸を合併していた患者のサブセットについてはSino-Nasal OOutcome Test-22(SWOT-22)をQOL調査票として用い、検討した。

ANDHI試験は、全例がベースライン時の血中好酸球数150μL以上であり、吸入ステロイド薬とその他の長期管理薬を用いても、過去12か月間に全身性ステロイド薬による治療を要する2回以上の喘息増悪を経験した656例の被験者を対象とした。

24週時点の年間喘息増悪率、49%統計学的に有意に抑制

同試験の結果、24週時点の年間喘息増悪率について、ファセンラはプラセボに対し49%統計学的に有意に抑制した(0.94 vs. 1.86;p≤0.0001)。また、複数の主な副次評価項目において、ファセンラはプラセボに対し24週時点で統計学的に有意かつ臨床的に意味のある健康関連の生活の質(QOL)の変化が認められ(p≤0.0001)、24週時点より前のすべての測定時点において、SGRQによる評価値で、同様の違いが見られた。

また、ファセンラは24週時点で、FEV1についてプラセボと比べ最大160mlの早期の変化を示すとともに、ACQ-6の変化も示した(p≤0.001)。

CRSwNPのサブグループでは、24週時点で臨床的に意味のある症状スコアの低下

鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)患者のサブグループでは、ファセンラがプラセボに対し24週時点で臨床的に意味のある症状スコアの低下を示し(p=0.0204)、Sino-Nasal Outcome Test(SNOT-22)による評価で24週時点より前のすべての測定時点で同様の差異が見られた。CRSwNPは、鼻腔内の粘膜内層の持続性炎症および鼻や副鼻腔の粘膜から派生する鼻茸として知られる良性炎症性腫瘤を特徴とする。なお、鼻茸に対する同剤の適応は、海外および日本で未承認である。

ファセンラの安全性および忍容性は同剤の既知のプロファイルと一貫していた。多く報告された有害事象は頭痛、鼻咽頭炎、副鼻腔炎、発熱および気管支炎であった。

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