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「222nm紫外線直接照射」の人体皮膚への安全性と殺菌効果を実証-神戸大

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2020年08月14日 PM12:30

外科手術での感染リスク低減のため、222nm紫外線の安全性を調べる臨床試験を実施

神戸大学は8月13日、222nm紫外線の人体皮膚への安全性と殺菌効果の両立を立証したことを発表した。この研究は、同大大学院医学研究科外科系講座整形外科学の黒田良祐教授の研究グループとウシオ電機株式会社が共同で行ったもの。研究成果は、「PLOS ONE」に掲載されている。


画像はリリースより

医療において最も問題となる疾患のひとつに感染症がある。しかし、、ウイルス不活化の方法は限られており、古くから行われている手術野の消毒液による消毒や洗浄などしか方策がないのが現状で、実臨床における大きな課題となっている。感染症を克服するためには、これまでにない新たな予防・治療手段の開発が必要で、医療界で切望されている。

そこで研究グループは、外科手術時感染リスク低減のため、222nm紫外線を応用・実用化すべく、ヒトでの安全性を調べることを主目的とした臨床試験を計画した。

照射5分後・30分後で殺菌効果を確認、高い照射量でも皮膚に急性障害発生せず

まず、20人の健常者ボランティアの背中部10mm×10mm領域に対し、ウシオ製222nm照射装置()を用いて各50、100、200、300、400、500mJ/cm2照射し、24時間後に紅斑の有無を確認した。その結果、20人全員において紅斑が確認されなかった。その後、同背中部40mm×40mmに対し、500mJ/cm2を照射し、照射前、5分後、30分後のそれぞれで皮膚常在菌の数を測定(スワブ面積は20mm×40mm)した結果、照射前、照射5分後、30分後でそれぞれ、7.21個、0.05個、0.79個と殺菌効果が確認された。

従来、多剤耐性の殺菌においては、UVC紫外線のうち主に254nmが用いられてきたが、人体に直接照射すると10mJ/cm2程度で皮膚の急性傷害の指標である皮膚が赤くなる日焼け反応(紅斑)が現れるため、人体への直接照射は難しいとされてきた。しかし、今回照射したウシオ製222nm照射装置(Care222)による222nmでは、500mJ/cm2という高い照射量でも皮膚に急性障害が発生しないことが臨床試験で確認されたことになる。

今回の研究で、人体皮膚への安全性が立証されたことにより、医療への応用、臨床実用が現実的になった。研究グループは、「感染症を克服するためのこれまでにない、新たな予防・治療手段としての開発を進めていく。将来的には病院に限らず公共施設等でも安全に使用できるものになるようにしていきたい」と、述べている。

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