医薬品医療機器総合機構(PMDA)は7月31日に運営評議会を開き、2019年度の業務実績と決算を報告した。中期計画の2年目に当たる20年度の事業計画として、先駆け審査指定制度や条件付き早期承認制度の適切な運用、リアルワールドデータの申請資料への活用、GMP実地調査体制の充実などを進めていくことを確認した。
19年度の業務実績では、健康被害救済請求の処理期間について、第4期中期目標で定めた「6カ月以内に処理する件数60%以上」を上回る72.3%を達成し、給付額は約24億6100万円と過去最高となった。審査業務では条件付き早期承認制度を用いて2件を承認したほか、先駆け審査指定制度で指定された品目のうち、医薬品4品目、医療機器2品目を承認し、いずれも審査期間6カ月間で審査を行った。
今年度の審査業務については、迅速な審査体制を強化すると共に、リアルワールドデータの申請資料への活用に向けた検討やGMP実地調査体制、無通告査察を実施できる体制の確保などを計画に盛り込んだ。
リアルワールドデータの活用では、昨年度から企業向けに疾患登録システムの患者レジストリを申請資料に使うための相談を開始した。患者レジストリはデータの信頼性などに課題があることから、レジストリを使う上での留意事項や信頼性確保の考え方をまとめたガイドラインを今年度中に作成する予定である。
一方、PMDAが運営する医療情報データベース「MID-NET」については製造販売調査での企業利用が進んでいなかったが、運用手順を改め、引き合いが増加していることも報告された。