■承認取得が前提条件
政府は7月31日、米ファイザーと来年6月末までに新型コロナウイルス感染症ワクチン6000万人分の供給を受けることに基本合意した。ファイザーがワクチンの開発に成功し、承認が得られることが条件。政府が新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発企業と国内供給で基本合意したのは初めてとなる。加藤勝信厚生労働相は、記者団に対し、「今後最終契約に向け、速やかな協議を進めていきたい」と語った。
今回の基本合意は、ファイザーとの間で供給量等の基本的な事項に関して合意を得たもの。加藤氏は「国内で早期に供給できるよう海外で開発を進める企業と協議を進めてきたが、ファイザーと供給で基本合意に至った」と述べた。
ファイザーが開発を進めているのはmRNAワクチンで、従来のワクチンに比べて開発や製造時間を大幅に短縮できるのが特徴。来年末までに13億回分を世界に供給することを目指している。
基本合意した供給量は6000万人分となるが、ファイザーが開発中のワクチンが予防効果を示すのに2回の接種が必要とされているため、接種回数での供給量は1億2000回分となる。独バイオベンチャーと共同で海外第II/III相試験を近く開始するが、日本は参加していない。
日本での承認について加藤氏は、「(開発を)ゼロからやるというわけではないが、今後ファイザーと調整したい」と述べ、海外の臨床試験データを活用することで早期承認を視野に入れる考えを明らかにした。
新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発には国内外で多くの製薬企業が参入しており、英アストラゼネカも政府と国内での供給に向けた協議を進めている。
加藤氏は「今回は6000万人分の供給での基本合意であり、まだ開発途上という段階で全てうまくいくわけでもない。ファイザー以外の他社とも協議を行い、日本の皆さんに安全で有効なワクチンを早期に供給できるよう努力していきたい」と述べ、安定供給の確保を図っていく考えを示した。