ED治療薬では解決できない性機能関連の症状が増加
バイアグラなどの勃起障害(ED)治療薬は、EDに悩む男性にとっては特効薬と言える。しかし、ED以外にもさまざまな性機能関連症状を訴える男性が増加傾向にあるとする、サンラッファエーレ病院(イタリア)のPaolo Capogrosso氏らの研究結果が「International Journal of Impotence Research」7月1日オンライン版に掲載された。EDや早漏を訴える男性は減少してきている一方、性欲の低下など、他の症状で受診する男性が増えているという。
Capogrosso氏らは2009~2019年の10年間に、性機能関連症状の主訴で同院の専門外来を受診した3,244人の患者データを分析。主訴の内容を、ED、早漏、性的欲求・関心の低下、ペロニー病(勃起時に陰茎が曲がるなどして痛みが生じたり性交困難になる)、およびその他の症状に分け、それらの頻度の経年的な変化を検討した。
その結果、ED治療のために受診する患者数は、2009~2013年にかけて増加していたが、それ以降は減少していた。一方、性的欲求・関心の低下やペロニー病の症状を訴える患者は2009年には少なかったが、経年的に増加していた。2009~2019年にかけて、性的欲求・関心の低下を訴えて受診した患者は約32%増加し、ペロニー病での受診は約30%増加していた。反対に、早漏で受診する患者は10年間で約6%減少した。
またこの10年間で、より若い男性が性機能関連症状を訴えるように変化してきた。具体的には、初診時の平均年齢が61歳から53歳に低下していた。
この結果をCapogrosso氏は、「直近の10年間で、性的な問題で専門外来を訪れる男性の受診理由は大きく変化している」とまとめ、その理由について「おそらく、以前よりも人々が開放的になったこと、そして性的な問題への男性の対応が、隠すことから治療可能な問題として受け入れるように変化したためである」としている。
また、「今でもEDが主要な受診理由ではあるが、その数は減少している。一方で患者の約35%がペロニー病を訴えており、その数は増加の一途をたどっている」と同氏は述べている。患者層の低年齢化については、「性的な問題に対する姿勢の世代による違いを反映したものだ」と指摘。受診理由が変化していることについては、「有病率が変動したというよりも、治療へのアクセスが改善したことによる影響が大きい」と説明している。
コペンハーゲン大学(デンマーク)泌尿器科のMikkel Fode氏は、この報告から、「男性が自分の性的な健康状態をよく認識するようになっていることが示唆される」と述べている。また、「ED治療のために専門外来を訪れる患者が減少しているのは、かかりつけ医が専門機関に紹介せずに対処できるようになったためだと考えられる。患者層の若年化や、ペロニー病や性欲低下による受診の増加は、男性とそのパートナーが性生活の向上を意識するようになってきたことを示している」と説明している。
▼外部リンク
・Trends in reported male sexual dysfunction over the past decade: an evolving landscape
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