厚生労働省は28日、2019年度販売情報提供活動監視事業の報告書をまとめ、39件の医薬品で不適切性が疑われる情報提供活動が認められたと発表した。不適切性が疑われる項目のうち、「エビデンスのない説明を行った疑い」が全体の約25%を占めた。厚労省は「全体として件数は減っているものの、依然として不適切な販売情報提供活動が行われている事例がある」としている。
同事業は、広告違反に該当する行為を早期に発見し、製薬企業の販売情報提供活動の適正化を図ることを目的としている。選定した医療機関からMRやメディカルサイエンスリエゾン(MSL)の販売情報提供活動を収集し、医療関係者向けの専門誌・学会誌、製薬企業ホームページ、医療関係者向け情報サイトについても適切性に疑義がないか調査を実施した。
その結果、医薬品に関する情報提供について広告違反が疑われたのは39件、違反が疑われた項目は57項目となり、18年度に報告された45件、74項目から減少した。
違反が疑われた項目は「エビデンスのない説明を行った」が24.6%と最も多く、18年度から増加していた。また、「誇大な表現を用いてデータを説明した」「未承認の効能・効果や用法・用量を示した」が12.3%と続いた。
違反が疑われた医薬品に関する入手方法としては、「製薬企業担当者(口頭説明)」が53.8%と最も多く、次いで「製薬企業担当者(印刷物・提供)」が23.1%、「製薬企業担当者(データ・持ち帰り」「ウェブセミナー」が10.3%となり、18年度と同様の傾向だった。
主な疑義報告事例では、口頭説明で海外の適応などから承認範囲を逸脱する効能・効果を積極的に紹介した事例や、説明資料で複数の臨床試験の試験結果を合算して記載し、薬剤として優位性が高いとの印象を与えかねないデータ加工などが行われていた。