日本医療研究開発機構(AMED)は28日、複数の製薬企業の化合物を一元的に管理、相互利用できる「オールジャパン創薬ライブラリー」の運用に必要な基盤の構築が完了したと発表した。同ライブラリーは製薬企業の維持・管理コストの削減を目的としており、化合物を適切に管理するデータベースや、ヒューマンエラー防止のため、全作業工程でバーコードやQRコードを利用した管理方法などを導入した。
製薬企業が創薬スクリーニングで使用する化合物をストックしたライブラリーについては、維持・管理費用の削減、アカデミアの視点から利便性の高いライブラリーの整備、拡充などが求められている。
同事業は、ITを活用して創薬を支援するCACクロアが主導し、製薬企業間の壁を越えて化合物を一元的に管理する施設や体制を構築し、化合物の相互利用を目的としたオールジャパン創薬ライブラリーを構築するもの。
安全で効率的に管理でき、ライブラリーの維持・管理にかかるコストを削減できることなどをメリットとして、現在は製薬企業4社が参加している。2018年にAMEDの医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に採択されており、今回、ライブラリー運用の基盤整備が完了した。
同社はライブラリー構築に必要な施設、設備をかながわサイエンスパーク内に整備し、ソフト面では複数の製薬企業の化合物を適切に管理するデータベース、ヒューマンエラーの発生を最小限に抑えるため、管理、保管、調製、出荷など全作業工程でバーコードやQRコードを利用した管理方法を取り入れた。
ハード面については、自動原末保管庫や自動溶液保管庫、調液室、自家発電機などを設置した。