■中医協総会で了承
中央社会保険医療協議会は22日の総会で、2020年度薬価調査の実施を了承した。新型コロナウイルス感染症の対応で医薬品卸の流通体制が例年と異なることや疲弊した医療現場の負担増を考慮し、調査対象となる販売側の医薬品卸は全体の3分の2(67%)、購入側の医療機関・薬局は前回調査の半分に設定した。具体的な調査の対象範囲などは8月以降に議論する見通し。
今年度の薬価調査実施をめぐっては、新型コロナウイルスへの対応で疲弊した医療現場の負担増などを懸念した診療側から反対意見が続出。一方、支払側からは、政府の方針に沿って例年通り実施するよう求める声が上がっていたため、結論が出ていなかった。
ただ、17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)では、今年度に薬価調査を実施することを明記。その上で、「21年度の薬価改定については、骨太方針18等の内容に新型コロナウイルス感染症の影響も勘案して十分に検討し、決定する」とされた。
薬価調査は9月の取引分が対象となる。販売側の医薬品卸については品目ごとの販売価格、数量を調査し、対象企業の負担を軽減しつつ一定の精度を確保するため、対象企業を全体の3分の2(67%)に絞った。
購入側の医療機関、薬局の調査では、購入価格、数量のほか、購入先の卸売販売業者の情報を調査項目とした。対象施設数を19年度調査の半分に設定し、具体的には病院約210、診療所約260、保険薬局約500施設とした。
昨年、地域医療機能推進機構(JCHO)の入札に関する医薬品卸大手4社の談合疑惑が発覚した事案を踏まえ、調査の信頼性を確保する観点から、4社とJCHOの取引分については除外する。
厚生労働省が9月下旬までに対象施設に調査票を送付し、10月下旬に提出することとし、7月の豪雨による被災地の施設は調査対象外とした。12月の中医協総会で速報値が報告される予定だ。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、今年度の調査実施を了承する一方、「医薬品卸や医療機関の負担軽減を最大限行うべき」と訴え、調査票を提出する際に医療機関が管理するデータをそのまま提出することなどを認めるよう求めた。
これに対して、林俊宏医政局経済課長は「調査票に転記しなくて良いかも含めて、負担軽減を工夫するよう検討したい」と応じた。