厚生労働省の「医薬品等行政評価・監視委員会」の委員の選考に関する委員会が20日に初会合を開き、製薬企業従事者、医薬品等の承認審査に関する部会の関係者などは、委員から除外する方針を決めた。改正医薬品医療機器等法の施行により、9月に設置予定の評価・監視委員会は、医薬品等の安全性確保に関する行政施策に意見・提言できる機能を持つ。関連学会から推薦を受けた上で、8月の次回会合で委員を選定する予定。
改正薬機法では、2010年度に薬害肝炎検証・検討委員会が示した最終提言を踏まえ、医薬品等の安全性確保に関する厚労省など関連行政の施策を評価、監視する委員会を9月に設置することとしている。
同委員会は、厚労省内に設置する八条委員会に位置づけられる。医薬品等の個別品目の安全性や薬事制度について、厚労省などから情報提供を受けた上で評価し、必要に応じて厚労大臣に意見、勧告することができる。
医薬品等の安全性を議論、評価する薬事・食品衛生審議会との関係について、厚労省は「上下関係にあるわけではない」と強調する一方、安全性に関する最終評価は従来通り、同審議会が行うこととした。
この日開かれた委員会は、評価・監視委員会の委員を選定するもの。厚労省は、選定に当たって除外対象となる人の要件を提示した。具体的には、▽製薬企業に従事する人▽薬害被害者を除いた薬事・食品衛生審議において医薬品等の承認審査に関する部会の委員▽医薬品等の安全性について厚労省と係争中の訴訟関係者――とした。
要件について反対意見は出なかったものの、勝村久司委員(全国薬害被害者団体連絡協議会副代表世話人)は利益相反を重視し、「製薬企業や審議会に関係する人は、過去10年間は関わりがないなどの区切りを設けたほうが良い」との考えを示した。
勝村氏の意見に対して、厚労省は、委員会の立ち上げまで時間が少ないことも考慮し、「10年間だとメンバーが集まらない可能性が高いので、新しい基準を作ることには懸念がある」とした。
山本隆司委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)も「一律に基準を決めること、現段階で具体的な基準を入れることは難しいので、具体的な委員選定の際に精査すれば良い」との考えを述べた。