■21年度薬価改定の方針明記
政府は17日の臨時閣議で、「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針)を決定した。喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策に内容を絞り込む一方、21年度の薬価改定については「今年の薬価調査を踏まえて行う」としつつ、「新型コロナウイルスの影響を考慮した上で十分に検討し、決定する」とした。また、ウイルス対策として、早期の治療薬、ワクチン開発に注力すること、受診から薬剤の受け取りまでオンラインで完結する仕組みを構築することなどを盛り込んだ。
今年の骨太方針では、コロナ後の「新たな日常」に対応した医療提供体制の構築を明記。今年の薬価調査を踏まえて行う21年度薬価改定については、「骨太方針18などの内容に新型コロナウイルス感染症の影響も勘案し、十分に検討して決定する」とした。
また、新たな日常に対応した予防・健康作りとして、OTC薬の普及などによるセルフメディケーションを推進するとした。
ウイルスに対する医療提供体制の強化も明記し、医療現場で必要な医薬品の原薬、感染防護具、医療機材等の確保と備蓄や、国内の生産体制を整備することとした。
ウイルスに対して効果的な治療薬やワクチンの研究開発を加速し、優先、迅速に審査して国内での生産体制を早期に整備すると共に、必要量の確保とワクチン接種体制の構築も進めるとした。
医療機関での感染拡大を防ぐため、インターネットや電話を利用した医療のオンライン化も明記した。オンライン診療について、電子処方箋、オンライン服薬指導、薬剤配送によって診察から薬剤の受け取りまで一貫してオンラインで完結する仕組みを作る。
オンライン診療をめぐっては、感染拡大の状況を考慮して初診患者の受診を認めるなど、期間を限定して規制緩和している。これを踏まえ、エビデンスを収集した上で、オンライン診療や電子処方箋の発行に必要なシステムの普及促進を含め、実施の際の適切なルールを検討することとした。
国際連携を進めて治療薬とワクチンの開発を促すことも盛り込んだ。具体的には、治療薬、ワクチンの候補に関する臨床研究を国際的に拡大すると共に、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)やGaviワクチンアライアンスへの出資を継続する。