厚生労働省は14日、6月に東京都、大阪府、宮城県の一般人約8000人を対象に行った新型コロナウイルス感染症に対する抗体検査で陽性と判定された8人について、全員が感染を防ぐ「中和抗体」を持っていたとする試験結果を公表した。国内で新型コロナウイルスに対する中和抗体の保有を確認したのは今回が初めて。中和抗体の持続期間について、国立感染症研究所の研究班で調査を行う考えだ。
体内から新型コロナウイルスを除去する抗体の保有率をめぐっては、厚労省が6月に東京、大阪、宮城の一般人計7950人を対象にウイルスに感染していたかどうかを判定する抗体検査を実施。
陽性判定を正確に行うため、米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用を認めたロシュとアボットの2製品を使用し、両製品で陽性と判定したものを「陽性」と定義していた。その結果、東京2人(0.1%)、大阪5人(0.17%)、宮城1人(0.03%)が陽性と判定された。この8人が実際にウイルスに感染していたかどうかは不明としている。
ただ、厚労省は、抗体が本当にウイルスの感染を防ぐ機能を持つかどうか確認する必要があると判断。感染研と協力して、8人の抗体にウイルスの感染を防ぐ機能を持つ中和抗体があるかどうか確認するため、6月から中和試験を行った。
試験では、ウイルスに感染した可能性がある血清と細胞を混合させ、細胞が破壊されなければ中和抗体を持っていると判定した。
その結果、8人全員が中和抗体を持つことを確認した。国内で中和抗体を持つ人を確認したのは今回の試験が初めて。
厚労省は「2製品を使用した抗体保有率の結果が正しかったことが裏付けられた」とする一方、抗体の保有調査を再び実施するかについては、「一定程度の時間を空けて行うことが必要だが、どう実施するかは検討したい」とした。