加藤勝信厚生労働相は14日、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンを全国民に供給するため、テルモやニプロなどのシリンジと針を製造する医療機器メーカー6社のトップと会談し、これら製品の増産を要請した。メーカー側は「急激に増産するのは難しいが、国難でありチームとして要望に応えるため、増産体制を約束した」との認識を示した。具体的な種類や供給数は厚労省と調整する予定。
会談には、厚労省側は加藤氏をはじめとする関係部局の幹部、メーカー側はテルモやニプロなどワクチンのシリンジ、針を製造する6社の代表者が参加した。
新型コロナウイルス感染症の追加対策を盛り込んだ2020年度第2次補正予算では、ワクチンを早期に供給するため、開発と並行して生産設備を整備させると共に、接種に必要なシリンジ、注射針の買い上げと備蓄に50億円を充て、必要数を年度内に確保することとしている。ただ、現状では、針は国民全員分を確保しているものの、シリンジは不十分としている。
会談の冒頭にあいさつした加藤氏は、国内外でワクチン開発が進み、早ければ21年前半に供給を開始できる見通しに言及した上で、「ワクチンだけでは患者に使うことができず、シリンジと針が供給されて、初めて接種に必要な体制が整う」と強調。
「ただ、シリンジと針はすぐに揃うわけではなく、一定の時間が必要だ。増産あるいは輸入量を増やしてもらい、接種可能となった場合には速やかに国民全員が接種できる体制を構築するため、協力をお願いしたい」とメーカー側に増産を要請した。
会談後に記者団の取材に応じた、テルモの三村孝仁会長は、「急激に増産するのは難しいが、国難でありチームとして要望に応えるために、増産体制を約束した」と明言。一方で、「要請を受けたシリンジの増産については、メーカーの努力だけでは限界があり、行政にも協力をお願いした」と述べた。
具体的に供給するシリンジと針の種類、本数等については厚労省と調整を進めるとしている。