■19年薬物情勢
厚生労働大臣など関係閣僚で構成する薬物乱用対策推進会議は、大麻や覚醒剤等の所持、使用などによる検挙者数を示した「2019年薬物情勢」を公表した。20代以下の若年層の浸透などで大麻の検挙者数は4570人で過去最多となった一方、覚醒剤は8730人で44年ぶりに1万人を下回った。インターネット上の取り締まり強化などで危険ドラッグの検挙者数は183人と4年連続で減少した。
昨年1年間に、大麻、覚醒剤、麻薬・向精神薬、あへんの所持や使用などで検挙された人は1万3860人で、前年から462人(3.2%)減少し、2年ぶりに減少した。
このうち、覚醒剤の検挙者数は8730人で、1300人(13%)減少し、44年ぶりに1万人を下回った。厚労省は、少年と20代の検挙者数が1151人と4年連続で減少したことや、関係省庁の啓発活動が一因と見ている。
一方、大麻は4570人で808人(21.5%)増加し、6年連続で増加して過去最多となった。大麻は無害との誤った情報がインターネット上で拡散されていることなどが影響し、20代以下の大麻検挙者数は2622人に上り、6年連続で増加したことなどが背景にあるとした。
薬物の押収量を見ると、水際対策を強化したことなどにより、覚醒剤2649.7kgで初めて2トンを超えた。乾燥大麻は430.1kg、コカインは639.9kg、MDMA等錠剤型合成麻薬は7万3915錠と、いずれも前年より増加した。
危険ドラッグによる検挙者数は183人。インターネット上の取引に対する取り締まりを強化していることなどから、前年の383人から減少し、4年連続で減少した。