政府の経済財政諮問会議は8日、「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針)の原案を示した。医薬品等の改革で、注目されていた毎年薬価改定に向けた20年度の中間年薬価調査については、骨太方針の原案に記載はなく、これまでの方針通りに実施することがほぼ確定した。
毎年薬価改定に向けた中間年調査をめぐっては、新型コロナウイルス感染症の拡大が医療機関や薬局、医薬品卸に大きな影響を与えていることから、中央社会保険医療協議会の場でも負担増を懸念した診療側委員から「調査できる状況にない」と反対が相次ぐ一方、支払側委員は、調査自体は予定通り行うべきとの意見を表明していた。
厚生労働省は、購入側である医療機関と薬局の調査対象を半分にして行い、販売側である医薬品卸の調査は対象企業の抽出率を67%に設定する折衷案を提示し、薬価調査の準備を進める方針を示していたが、6月中にまとまらず、議論の決着が骨太方針に持ち込まれていた。
6日には、日本医薬品卸売業連合会が緊急声明を発表。「中間年調査の実施を決定されても納得できるものではなく、未曾有の困難に直面している今回は医薬品の安定供給を全うさせてほしい」と訴えた。
しかし、西村康稔経済再生担当相は同日の記者会見で、原案に今年度の中間年調査に関する記載がないことについて、「骨太方針18、19に基づき、これまでの対応方針に変更はない」と明言。
予定通りに中間年調査と毎年薬価改定を実施することが事実上確定した格好となった。