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【九州豪雨】卸の営業所が機能停止に-医薬品供給は連携でカバー

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2020年07月10日 AM10:00


■薬局も浸水被害広がる

3日から断続的に九州地方で発生した記録的な豪雨は、熊本県を中心に各地で洪水や土砂崩れ、河川の決壊などにより甚大な被害をもたらした。薬局や医薬品卸の業務にも大きな影響が出ており、薬事日報の調べでは8日現在、熊本県人吉市内の医薬品卸売販売業者2社の営業所・支店(デポ)が床上浸水などの影響で機能停止していることが分かった。また、熊本、福岡、鹿児島の3県で計50軒以上の薬局において浸水などの被害が発生しており、熊本県薬剤師会は「7月豪雨災害対策本部」を設置。災害対策医薬品供給車両「モバイルファーマシー」を避難所に配置し、8日にはDMAT(災害派遣医療チーム)に帯同して孤立地域への医薬品搬送の支援も始めた。

厚生労働省によると、薬局の浸水などによる被害数は37件に上っている。詳しく見ると、福岡県で11件(久留米市4件、大牟田市7件)、熊本県で22件(人吉市12件、葦北郡9件、八代市1件)、鹿児島県4件(薩摩川内市2件、鹿屋市2件)という状況にあるが、薬事日報の調べでは、8日時点で床上浸水被害を受けた薬局は熊本県で28件(県薬務衛生課)、福岡県で20件(県薬務課)とそれぞれ増加していることが判明。未曾有の豪雨による被害は刻一刻と広がりを見せているようだ。

こうした状況を受け、厚労省は4日、今回の豪雨による被害状況を把握した場合に、薬局薬剤師や各都道府県に対して報告を求める連絡を行ったほか、6日付で大規模災害時に医師の受診や医師からの処方箋交付が困難な場合、患者に対して必要な処方箋医薬品を販売し、授与できることを通知した。

一方、熊本県の球磨川の氾濫で、広域に浸水被害の出た人吉市にある医薬品卸2社のデポが機能停止状態になった。アステムの人吉営業所は人的被害はなかったものの、社屋、駐車場を含めて1mほど浸水。事務所の機器や商品、車両9台が水没した。現在は、近隣の八代支店から、現地の医薬品供給をカバーするなどの体制が敷かれている。

メディパルホールディングス傘下のアトルは人吉支店が1mの浸水被害を受けた。従業員の安否は全員の無事を確認。事務機器、商品、車両6台が水没したため廃棄。支店機能は停止状態にあるものの、八代支店などと連携して医薬品の安定供給に努めているという。同社は、4日午前9時には本社に災害対策本部を設置し、翌日に本社から25人を現地に派遣し、支店の復旧作業や得意先の支援活動に当たっている。

また、熊本県薬剤師会は4日午前7時40分に「7月豪雨災害対策本部」(本部長:富永孝治会長)を設置。現在、県からの要請を受け、球磨村の避難所である「さくらドーム」に災害薬事コーディネーターの会員薬剤師3人とモバイルファーマシーを出動させている。現地ではDMATと連携し、避難所で発行された災害処方箋の調剤に対応している。

8日午後には、モバイルファーマシーが立ち入りできない球磨村の孤立地域に向けて、DMATに帯同して薬剤師がヘリコプターで医薬品を搬送した。派遣薬剤師は3人体制で第1班が6~8日、第2班が8~10日に現地に赴き、避難者の支援に対応している。

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