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ネモリズマブ、アトピー性皮膚炎に伴うそう痒対象P3試験で主要評価項目達成-マルホ

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2020年07月10日 AM11:45

そう痒誘発性サイトカインIL-31とそのレセプターの結合を競合的に阻害

マルホ株式会社は7月9日、ネモリズマブについて、アトピー性皮膚炎に伴うそう痒を対象に日本国内で実施した第3相臨床試験(比較試験)の結果が、「The New England Journal of Medicine」に掲載されたと発表した。

ネモリズマブは、中外製薬が創製した抗IL-31レセプターAヒト化モノクローナル抗体。IL-31は、そう痒誘発性サイトカインであり、、結節性痒疹および透析患者におけるそう痒の発生に関与していることが報告されている。また、IL-31はアトピー性皮膚炎の病態における炎症惹起および皮膚バリア機能の破綻への関与も示唆されている。ネモリズマブは、IL-31とそのレセプターの結合を競合的に阻害することで、IL-31の生物学的作用を抑制し薬効を発揮する。

13歳以上のアトピー性皮膚炎の患者215人対象、有効性と安全性をプラセボと比較

今回試験では、中等症~重症のそう痒を有する13歳以上のアトピー性皮膚炎の患者215人(ベースラインのそう痒VAS中央値75.4)が、ネモリズマブ群(60mgを4週ごとに皮下投与)またはプラセボ群(プラセボを4週ごとに皮下投与)に2:1の比でランダムに割り付けられた(ネモリズマブ群143人、プラセボ群72人)。そう痒視覚アナログスケール(Visual Analogue Scale:VAS)は、痒みの程度を10cmのスケール(0:痒みなし、10:想像されうる最悪の痒み)上に線を引き、痒みの程度を判定する評価指標。同試験では抗炎症外用薬を併用し、ネモリズマブ投与16週後の有効性と安全性をプラセボと比較した。

試験の結果、主要評価項目である投与開始16週後のそう痒VAS変化率は、ネモリズマブ群-42.8.%に対し、プラセボ群-21.4%であり、統計学的な有意差が認められた(p値<0.001)。副次評価項目である投与開始4週後までのそう痒VAS変化率の経時推移では、そう痒VAS変化率の減少が投与翌日から確認された(ネモリズマブ群-10.3%、プラセボ群-4.4%)。

投与開始16週後のEASI変化率はネモリズマブ群-45.9%に対しプラセボ群-33.2%だった。Eczema Area and Severity Index(EASI)は、アトピー性皮膚炎の皮膚所見の重症度と病変範囲から全身のアトピー性皮膚炎の重症度を数値化した評価指標。

皮膚疾患に特異的なQOL尺度であるDLQIスコア4以下を達成した患者の割合は、ネモリズマブ群40%に対しプラセボ群22%。睡眠に関する患者の主観的評価指標であるISIスコアを7以上改善した患者の割合はネモリズマブ群55%に対しプラセボ群21%となった。

有害事象の発現率は、両群ともに71%であり、ほとんどが軽度あるいは中等度の事象だった。高度な有害事象はネモリズマブ群で3人(2%)に認められた(メニエール病、急性膵炎、アトピー性皮膚炎)。ネモリズマブ投与後に有害事象のため投薬を中止した患者は3人で、その内訳は、メニエール病および円形脱毛症、末梢性浮腫、アトピー性皮膚炎だった。頻度の高かった有害事象はアトピー性皮膚炎の悪化で、発現率はネモリズマブ群24%、プラセボ群21%。注射関連の反応の有害事象の発現率は、ネモリズマブ群8%、プラセボ群3%だった。

ネモリズマブ群では血清TARCの上昇が認められたが、血清TARCの上昇とEASI悪化との相関は認められなかった。血清中のTARC値は、アトピー性皮膚炎の短期病勢のマーカーとして用いられている。

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